しょくぎょうふじん ④ 「プラダを着た悪魔」のアン・ハサウエィ他

 

 働く若い女の子にとって「ロール・モデル」って必要?

 「キャリアを目指す女性にとってのお手本となる先輩の数が圧倒的に少ない」とよく言われていますが、貴女は本当にそんなお手本となる先輩女性って必要ですか?・・・ぶっちゃけいらなくないですかホントは、いや必要ないですよ、ハッキリ言って。あんなにまでなっちゃお終いだわ~っていうサンプルばっかでしょう実際。そういえば若い男の仕事人同士でも「ロールモデルが必要」なんて普通にやってます?やってるよ、だってリスペクトする先輩はいくらでも存在するぜっと反論があるかもしれませんが。男同士の師弟関係なんぞを間近で観察していた経験からしても日本人に同性のロールモデルが必要って気がしないっつうのが実感です。で、このアン・ハサウェイ出世作ともいえるこの映画を観ても、やっぱり「反ロールモデル」映画やんけ・・・USでも事情はあんまり変わらないのねぇ、なんだあっ(笑)て思いましたわ。

公開十年以上たっても「古くならない」

 本当いうと最初は疑問だった。「すぐにヒロインたちの着てる服ダサくならないのかあ?」ってね。スポットCMに登場するコーディネートがまた雑誌からもろに飛び出してきたようなので一歩間違えたら「痛い」と思われる特殊なおしゃれピープルそのままなんだもんね。(映画公開当時は何よりも映画の衣装コーディネートをSex and the City エッセンシャルコレクションBOX セカンド・エディション [DVD]で有名になったパトリシア・フィールドがやったので、当人が来日して映画宣伝したのだ)だから観客は皆は映画の最初っからヒロインのアンドレア(アン・ハサウェイ)に強烈感情移入する人が多いと思う。アンドレアの格好は鬼編集長のミランダ(メリル・ストリープ)が指摘するとおりまるっきり学生、しかも学生が好むブランドのカタログそのまんまだから彼女世代としては十分標準的、ほんの少しださいかもしんないけどなにせフレッシュな美人なんだから何が不足だよ、てなもん。そんなアンドレアを半ば強引にミランダは一番下のアシスタントに起用して朝から晩まで鍛えまくるのだ。アンドレアはファッションには興味が無いというよりファッションの世界には「深い知性が無い」と思い込んでいる。そんな彼女にミランダが自分の雑誌で取り扱っているハイ・ファッションの、特に経済、人々の生活を動かす役割について超高速で解説するシーンは結構凄かった。メリル・ストリープがオスカーにノミネートされる時とそうでない時の区別がいまいち分からなかったけど、この映画でははっきりしてるわ(笑)。ハイ・ファッションと言ってもたいてい多国籍企業が所有してる。大衆(マス)向けブランドと一緒になっていて結局一部分にしか過ぎないからさ。台詞がブランド名がバナナリパブリックしか登場しなくて、アンドレアがGAP丸出しのセーター着ているのだけど、そこでアンドレア言わんとしていることを感じ取りましょう。そしたら貴方も少しはファッションに興味が持てるかも。

女性のキャリア形成についてのしんどさはファッションよりもさらに「難解」

 映画は後半になるとよくあるトレンディドラマみたいな展開になってる・・・という感想を持つ方もいるかもしれません。ベストセラーになった原作小説とはかなり内容が違っていることに不満を持っている人もいるみたい。とはいえ私のように映画しか観ていない者にとっちゃ男性主人公のビジネスもの映画と比べても、業界マニアック度がかなりのハイレベル(パリ出張時のアンドレアの真っ黒なアイテムのみのコーディネートの見せ方とか)なことに満足してしまうのでさほど気にならなかったです。んで原作の概要から察するに原作小説には「好きな事を仕事にするのは女性にとって相当にしんどいこと」というジレンマが底辺に流れているみたいですね。映画の脚色にあたってもまったく考慮されていないわけではないのですが、男性脚本家にはいまいち実感が伴わないものなのか男性差別発言ですまんねw)ミランダとアンドレアの関係の決着としてもあれで良いのか?て感じの結末エピソードで若干曖昧に感じられるものになっております。まああ・・・映画にまとめる脚本としては十分ではありましたけどね。

この映画でブレイクしたエミリー・プラント

 お仕事映画ではヒロインとともに必ず魅力的な同僚キャラの存在が欠かせないのですが、アンドレアの先輩アシスタントであるエミリー(エミリープラント)がこの映画ではやってくれています。役柄としては従来のオフィスもの比べてもむしろおとなしい方なのですがまさに好きな事に尽くして尽くして人生他のことを総て犠牲にして生きているタイプを好演していて、入院してアンドレアに見せるスッピンの丸顔が可愛い。まああ・・・女性が好きな事を仕事にすると「しんどい」の残酷さはこのエミリーの入院騒動程度のことじゃ済まないんだっ、てことも原作小説には書いてあるようですが、興味がある方は読んでみてね。(ついでにコメント送ってくれると参考になりますw)