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BL版 ドキュメント野郎!! ⑥ 「FAKE」

 

 

SYMPHONY No.1

SYMPHONY No.1 "HIROSHIMA" Mamoru SAMURAGOCHI 佐村河内守 交響曲第一番

 

 すいませんやっぱこの映画取り上げたいので

 やっぱりせっかく劇場で観た記憶が鮮明なうちに書いておきたいじゃいですかあ。東京ではついこの間ロードショーが終わったばっかりでしたが、もう凄くいろんな年齢層の人達が見に来ていた。私が行った時は劇場公開から一か月は経っている時期だったのでもうそろそろ終わりそうだから・・・て出かけたんですけど満杯、鑑賞終わって二回目の観客入れ替わりの際にはさらに多くの人が詰めかけていた。それこそ「シン・ゴジラ」以前はネットで話題の映画は「FAKE」一色だったくらいの印象でしたよ。私は森達也という方はTVやコラムはよく拝見するものの映画は初めてだったのですが、モチーフがモチーフだけにドキュメンタリー映画なんですがすごく、お茶の間感といおうか某TV局の「ザ・ノンフィクション」より親しみやすい気がしました。とことん「TV」がフィチャーされている映画なのにこんなこと言うのも何なのですがね。

一体佐村河内氏の一番「何」が凄いのかあっ!!

 私だったらやっぱり佐村河内さんに一言「いやあ貴男のお住まいのマンションの立地が凄いっすよ!音楽家がそんなトコに居を構えるなんて正気の沙汰じゃないわあ!!」て言葉をかけてみたいです(笑)。オープニングも森監督が佐村河内氏のマンションに訪問するところから始まるのですが、マンションはガチ線路沿いにあり、窓を閉め切っているリビングで話を聞いている最中なのに電車音がガンガン聞こえてくる・・・どうしてこの監督「ここのマンション買った理由は?」て聴かないんだろう?まず最初にその点突っ込めよ、て観ていると思うんですけどねぇ。まあ「ドキュメンタリーとしては最後にやらせっぽい仕掛けがあるのかあ」等でも話題だったんですが、今思うとこのマンションのくだりからもうなんだかうさん臭かったでした、面白いってことですけどね。

どうしてこれほどまでに「役者」揃いなんだろう、揃い過ぎだよっ

 佐村河内守自身もそりゃ面白い人ではあるんですが、なにせ少し前までTVに出ずっぱりで騒動が過熱したこともあったので既知のことが多い。聴覚の障害について執拗なまでに拘るとかね。そりゃ音楽創作の根幹に関わることだから当然だといえるのだけれど、ゴーストライター騒動で釈明会見を開いた時にも自分がしでかした事よりも自分に聴覚の障害があることの医療診断がきちんとされた点についてだけ主張していて、それを報道陣がスルーしたことのみについて怒ってるんだもん、やっぱそれだけ観ていても嫌なヤツだとは皆思うよ(笑)。むしろ未知の面白さとしては夫婦ともにケーキが大好きだとかね♡、佐村河内さん家はお客が来ると奥さんいつもケーキとコーヒーを出すの。近所にお気に入りのケーキ屋さんがあるみたい。森監督もそうだし男の観客は皆佐村河内夫人に凄い興味があるようなんですけど、いそいそとケーキを客に振る舞う奥様の姿には「お気楽」の三文字しか私なんかは浮かばない。年末TVの特番出演の依頼に某TV局の幹部が訪問しに来たときも、アメリカのインタビュアーたちが佐村河内家にやって来た時にも、もちろん森監督にもケーキ・・・・後で絶対食べてるよねケーキ、来客者森監督以外は殆ど手をつけてないもん(笑)豆乳より絶対ケーキの方が好きだと思うよ~佐村河内家ではほぼリビングでの場面ばっかだから、ケーキや料理がいっぱい出てくる懐かしのホームドラマのようなだったよ。佐村河内さんのご両親が正月にやってきてインタビューしてたけれど、お父さん実直そうなんで息子の佐村河内さんも本当は元々かなりナイーブで不器用な人間かと思ったくらい。確かに佐村河内さんの難聴の障害は内容が複雑で思春期にかけて屈折するのも無理なさそうだし、何だかんだ言っても被爆二世であることは確かだよ。そら「障害」て云われたら通常のケースよりかは怖いさ彼らにしてみりゃ、だってば。んで佐村河内さんを取り巻く奥さん、お父さんお母さん、夫婦で会いに行く聴覚障害についての専門家のお医者さんとか・・・正直皆さん「実直そうでしかも個性が濃い」人々、下手な役者よりも存在感があり過ぎる、下手すると佐村河内守自身より「役者」。でもあんまり映画に登場しないけど「FAKE」にはもっとすごい影の主役とでもいうべき人物がいるよね、それはモチロンあの「新垣隆」よ!

BLなのかそれとも「実はかなりマッチョなマウンティング」なのか、でもでもBL?

 この映画って、(結果的にそうなったのかもしれないのですが)佐村河内さんの人となりを知る上で強い興味を引かれる部分が、どうしても新垣さんとのからみにおいてのエピソードに集中しているのですよ。それ以外では佐村河内さんて結構印象が薄い人なの。それだからこそ長年新垣さんと一緒の大作曲家ごっこが可能だったのかもしれないよ。年末の特番を佐村河内さんが断ると某TV局はなんと新垣さんを年末のバラエティー番組に引っ張ってきた。自分が出演する際には硬派な番組にするとTVのプロデューサーは言ってたのに、新垣さんたらひたすらおちゃらけ路線で「壁ドン」まで披露する。そしてその番組にじっと見入る佐村河内氏。観客が驚くのは佐村河内さんがひたすら悔しそうに見えること。むしろ「良かった自分の方が壁ドンやらされてたかも・・・」ぐらいのこと一瞬でも思い浮かばないのか?もしそうならば、彼はTVの中の新垣氏の意思がはっきり正確に汲み取れたんだよ。新垣さんは決して「お人よし過ぎる」性格だから断れなくで壁ドンなんかしたんじゃないよね、自ら「これぐらいのことは俺にもできる」を示したいから喜んでTVに進出したのさ。そもそも新垣さんは「ゴーストライター告白」の時から佐村河内さんとの共犯関係をあえて強調して発言していた。おそらく彼自身は佐村河内あっての自分・・・というものを受け入れたくなかったから長らく報酬をもらって佐村河内さんの依頼を受けてきたんだよね。それをガマンできなくなったのも自分だけの領域(テリトリー)を侵される事態が発生したから激怒しただけだよ。プロの音楽指導者にとって佐村河内氏のヴァイオリン少女との係わり方が許せなかったって最初っから主張してたしね。新垣さんてクラシック音楽の素人にはおよそ理解不能なプロセスを通して強烈なプライドの高さを周囲に見せつける人物だったんだわさ。(笑)

佐村河内守による、これぞ佐村河内守たる真骨頂・・・な佐村河内守

 アメリカの報道メディアの取材を受けた佐村河内さんに森監督がひとつの提案をしてそっからの流れが終盤へと至る「映画観た人は秘密にしてほしいラスト15分」になるようですが、私はどっからどこまでがそれに当たるのかイマイチ解かりませんでした、スイマセン。なのでラスト近くに佐村河内さんと森監督が佐村河内さんのマンションのベランダで煙草休憩をするシーンにのみ言及したいと思います。夕刻のそろそろ帰宅ラッシュの電車がひっきりなしに大音響で通行するなかリラックスして煙草をくゆらす佐村河内守の姿こそ「まさに怪物」、を見出すのは私だけでしょうか?そんでマンションのベランダで一服するシーンは最初と最後に二回でてくるのです。音楽に関してはほぼ素人に毛の生えた、気の利いた中高生レベルのデモテープを持ってくるだけの男が、おそらく絶対音感を持つであろう現代音楽の最前線にいる人間を怯えさせることができるとしたら、それはおそらくはこのような瞬間に遭遇したからではないでしょうか。新垣隆のような男だと一番恐れるだろうなあという佐村河内守の姿がそこにはありました。