BL版 ドキュメント野郎!! ④ 「ボウリング・フォー・コロンバイン」

 

ボウリング・フォー・コロンバイン [Blu-ray]

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 今更この映画

 すいませーん。やっぱりそんなにドキュメンタリー観ていないもんでぇ。(-_-;)とにかくここ2、3年のドキュメンタリー映画人気の高まりは強烈で公開本数は増えるばかりつい先月もエイミー・ワインハウスパキスタンの伝統音楽団がNYジャズ公演を果たすやつとか後もちろんあの現代のベートーベン様のその後を追った大ヒット映画など観てきたんですけど、追いつかない・・・という感じ。作家性が強いあまりもはやドキュメントの対象となるキャラクターも凄いけど、スコセッシ監督がローリングストーンズを追っかけるとかビートルズのドキュメンタリーをロン・ハワードが監督するとかニュースになってもはや訳が分かんなくなってきました。まあその最初のきっかけが↑の映画とマイケル・ムーア監督サマってことですかね。最近じゃマイケル・ムーア=近藤春奈=角野卓造・・・など果てしなくドキュメントから遠く離れてしまいますが。

今となっては懐かしいばかり

 タイトルも「コロンバイン事件の理由となったボウリング」てことで、1999年アメリカコロラド州にある公立のコロンバイン高校で起きた「コロンバイン高校の虐殺」事件にインスパイアされて製作されたことが解かります。犯人の二人は自分たちの高校で銃をぶっ放す前にボウリングを楽しんでいたんだとかのエピソードが有名だったからですね。9・11のちょっと前の現在よりもまだ何となく中産階級的で平穏そうに見えたアメリカで起きた凶悪な少年事件だったので、当時の若者カルチャー(レオ様の映画やらマリリン・マンソンのメタル音楽まで)の影響が取りざたされたもんです。それを茶化して「ボウリングの影響で高校性が虐殺事件を起こしたってなんで云わないんだい?」となったわけ。で、映画も最初はマリリン・マンソンのインタビューやらアメリカの目に見えるヤングなカルチャー談義から始まり徐々に目に見えないアメリカ開拓時期からの歴史、特に銃との関わりについての歴史について話が及んでいくのです。中々に面白かったはずなのですが、かなり昔に観たもんですから強く印象に残っているのが隣国カナダとの比較。映画でも中盤部の主要を占め、カナダの市民や若者たちにインタビューして彼らの率直な意見を引き出していたのを覚えています。映画に登場するカナダの人びとは観ていてもアメリカ人と比べてすべてにリラックスしているカンジ。若者なんか特にそう・・・でカナダの若者はアメリカの若者に比べてルックスも言動も大人びているんですが、大人びているからといっても顔つきからして知性の輝きが無さそう・・・という姿に何故かものすごい衝撃を受けました。(笑)子供っぽいけどやたら強い知性の萌芽を強く感じさせるアメリカのヤングと人生達観してるけど頭はあんまり良く無さそうなカナダの若者・・・こ、これも「銃の問題」とは少し外れるんだろうけど、根の深い問題なのかも・・・てつい思っちゃった、御免よぉ。

今思うと、いろいろ考えてしまう「チャールトン・ヘストン」について

 今見ると映画後半でムーア達が訴えたおかげで銃の販売をお止めたKマートが映画公開後に経営破たんしてライバル会社に吸収されたのも感慨深いんですが、やはり終盤ムーアが全米ライフル協会の会長であるチャールトン・ヘストンと直接対決するのは皆びっくりしましたね。日本でもおなじみかつての名俳優ですから。マイケル・ムーアが自宅に直撃して、ヘストンがなんかおずおず登場するシーンからして「なんか変だぞ」って不安になったし。後に彼がアルツハイマーを発症しているのを公表し翌年亡くなったという事実からしても映画でピックアップされていたヘストン会長の強気な姿は「ライフル協会のほぼ言いなりだったのね」って判断したくなってしまいます。チャールトン・ヘストンは保守派の政治思想の持ち主でしたが公民権運動もやってたし、70年代は俳優組合長もやっていた。ドナルド・レーガンチャールトン・ヘストンクリント・イーストウッドと政治的に保守派のハリウッドスターの流れってあるんですね。ハリウッドって共和党支持の人は少数派なんだけど、その代わり義理堅くて責任感が強いカンジ。ヘストンについては「自分の生まれ育った故郷の価値観がアイデンティティ」だから公民権運動で人種差別に反対するのも全米ライフル協会の会長になるのも米国建国の理念に忠実たれ、の精神で彼自身には矛盾はなかったはずだったんですが時代の変化はそうゆうの許さなくってきてヘストンも辛かったのでは?と思いました。マイケル・ムーアに追い詰められてインタビュー中に部屋から出て行ってしまうヘストンに哀しくなってしまうファンも多かったでしょうが、でもその一方でヘストンって【映画パンフ】猿の惑星 フランクリン・J・シャフナー チャールトン・ヘストンのみならず大いなる西部 [Blu-ray]でもヒロインの一人に軽蔑されていじけながら耐えていたり、ソイレント・グリーン 特別版 [DVD]でも皆にひたすらなじられていたり、なんたって全篇にわたっていじめられてもじっと我慢の子だったベン・ハー 製作50周年記念リマスター版(2枚組) [Blu-ray]が当たり役だった頃を彷彿とさせなくもないような・・・(おいおい)。マイケル・ムーアにしろヘストンと同様アメリカ中西部出身の「真面目タイプなアメリカ男子」ですしね、分かり合える接点が殆ど無くともせめてもう少し穏やかに対話できなかったのかと今になってちょっと思ってしまいます。