IF(たられば)の女 ① 「トゥモローランド」のラフィー・キャシディとブリット・ロバートソン

 

 ウチの息子はコレを観た後、唐突に勉強を始めた

 最初に何といったらイイのかちょっと悩む映画。娯楽映画としてははっきりいって構成を失敗しているというか結局何がやりたいんだよコレ(怒)となっちゃう方いそうだな。ただ真の主人公フランク・ウォーカー(ジョージ・クルーニー)につい肩入れしちゃうオッサン=昔の子供にとっては間に女子高生ケイシー・ニュートン(ブリット・ロバート)が活躍してくれないと行き場が無いという内容なもんで、というトコが辛いかなあ。でもある種のヒトにとっては「つい最後にキュンとする」わけ・・・まあ「ある種の病」を持っている人間にはということなんですけど・・・「IF(たられば)病」あと昔流行った言い方で「センス・オブ・ワンダー病」というのもありました。個人的には「危険なヴィジョン」というやつが一番しっくりあってますがっ(笑)特撮だのSFアニメだのばっかりに浸って育つとたまに大人になっても治らなくなるってことなの。

 個人的には傑作だと思ったミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]を撮ったブラッド・バードの次の映画がコレっていうのが、もう何か・・・苦笑するしかないんですけど、嫌いになれなーい。

It's a small world⇒Tomorrow Land の入り口さ

 映画は1960年のNY万博、少年フランク・ウォーカー(トーマス・ロビンソン)が自作のジェット・パックという発明品を持って万博責任者のディヴィット・ニックス(ヒュー・ローリー)へプレゼンする所から始まります。お子様フランクの言うコトですから当然大人たちには門前払い、ですがそんなフランクに不思議な少女アテナ(ラフィー・キャシディー)が近付いてきます。アテナが「イッツアスモールワールドへ乗りに行きなさい」と指示するものですからフランクが言う通りにすると・・・いきなりそこは観たこともない超ハイテク社会の「トゥモローランド」!万博なんか目じゃないくらいの未来的な街が広がっておりました。そしてフランクは訳も解からずトゥモローランドの世界に巻き込まれていくや・・・舞台は暗転、2015年のケネディ宇宙センターへ忍び込む高校生ヒロインのケイシー・ニュートンブリット・ロバートソン)のエピソードへ続く、という展開に。

(特に日本人からすりゃ)ラフィーちゃんに「ほだされちゃって許す♡」に(笑)

 ・・・なってしまうかもね。ケイシーはパパ(ティム・マッグロウ)がNASAを解雇されるのに腹を立てて基地に侵入に失敗、警察に保護されていた所で変なバッチを拾う。で、そこからトゥモローランドについて知ることになったり、オッサンになったフランク(ジョージ・クルー二)に逢いに行こうとしたり、アテナがケイシーを迎えに来たりと・・・まあそれなりに謎と冒険とアクションが続いていきます。が、いかんせん映画冒頭のフランクとアテナのエピソードが強烈なのに、妙なタイミングでぶった切られているもんですからなんだか興味持とうにも宙ぶらりん・・・唯一アテナの活躍(殆ど少女版ターミネーター)に「微笑ましい、悪戯っぽい笑顔の女の子がはきはきおしゃべりして滅茶苦茶強いってなんか可愛い」・・・ほぼそれだけの感慨でボーっとしながら中年フランクとの合流まで見ちゃいました。あとケイシーが訪れる(つうか罠として仕掛けられる)田舎町の玩具屋の主人の名前が「ヒューゴ」おお、ヒューゴなの!相方の女の人の名前は「ネビュラ」って言わないのぉ・・・っていう、ごくくだらないコトが気になっただけ(笑)

トゥモローランドの崩壊について・・・「はぁ?」or「まあ着地点としてはギリかな」

 ・・・ということなので、鑑賞してご確認をとしか言いようがない。ディズニー製作でディズニーって割と政治スタンスがはっきりしている会社とかぁ、穿って映画観るタイプには興味深いかも。(ハハハ)展開としてはケイシーとフランクとアテナ三人でトゥモローランドに乗り込んで行って「本当に世界の危機が迫っている」のを知り、止めようとするつーことです。ただ、それよりも少年フランクがトゥモローランドに向か入れられた後、25年後に追放されるまでの経緯がアテナの長台詞によってあっという間に語られるシーンがぐっときます。で、「ぐっとくる」感情に襲われるタイプの人間、IF(たられば)病の可能性大かも。少年老い易く・・・と普通に思い入れできる貴兄もおられましょうが、だから何なのこれって小馬鹿にする方もいそうなので。個人的には少年フランク役のトーマス・フランク君はなかなか子供らしくて可愛らしいのですが、かなりジョージ・クルー二似なものですから、つい「将来苦労するのでは?」とかクルー二兄貴の「二枚目な若年寄」の二十代の御姿を思い出したりして(コラコラ)いろんな意味で「少年老い易く・・・大器晩成イケるのか?」などいろんな感慨に囚われてしまいました、御免。

 

 英国ブッカ―賞、そして偉大なノーベル文学賞よりヒューゴ&ネビュラ賞

 でしかない人間には「合わない」とだけ申し上げて終わりにした方が良いのでしょうが(笑) でもついこの間「ホロコーストの収容所で労役に従事されられたゾーンコマンダー達でさえ暴動を起こした」映画観たり、映画 暗殺教室 Blu-ray スペシャル・エディション(4枚組)程度でも「なんか↑の映画より手際の良い世界観じゃないか?」という感想がどんどん膨れ上がってきてしまうぅ、危険だっ。(2017年秋には原作者がノーベル文学賞まで受賞している現在ならさらに)だって「純文学」なのよ「純文学」なんだからあ、どうして登場する奴ら皆「随分と経済効率の悪そうなディストピアを破壊するほどの覇気」を持てないんだよとか、よくこんな「キブツっぽい」環境で育ってんのに何故お互い性欲だけは活発なの?(イスラエルキブツ内で育った子供たちでカップルになるの凄く少ないらしいのに)とか、あまり突っ込んではいけないのよっ。特に「せかいかーん」なるものが遡上に乗るコンテンツの場合、「自分の好きな世界がdisられる」ヒトの身になって少し控えめにしようかなという気がしてます。

 

 とにかく(ある程度は予想できましたが)かの岩井俊二監督とアタイじゃ、徹底的にセンスオブワンダーの感覚だの世界観だのに共通点が無い、ということだけは今回よく判りました・・・