2015年に劇場で観た映画 ①

 

ベスト何とか・・・みたいなのは決めない

 特に今年はそれで行きます・・・おそらく誰もワタクシ的ベストなんてのを気にするとも思えないしね(笑)。今まではベストテンはともかくベストワンぐらいは上げてたのですがとにかく2015年は「イベント」多過ぎで何を基準にベストワン映画を決めていいかがまず難しかった。なにせ「SW(ヤツ)が来る前に」とばかりに各自とっておき企画が前倒し&後ろ倒しに襲撃してきたからなのだ!

 

  いやあ「オバちゃんの口コミ口撃」がすごくて、正月過ぎに行った歌舞伎のお客の中にも「この映画エグかったわよー」とずっとしゃべっているご婦人がいた。で、新春一発目だし・・・と観に行ったのでした。物語にとにかく「船頭」が多いの、女流作家のミステリーだと意外にこの手の物があって従来のハリウッドだったら脇に女性の登場人物が無駄に居るとみなすとバッサリ切っちゃうこともあったんですがね・・・結局のところ「思わせぶりなわりには説明が多い」というものになったカンジ。ワタクシ的にはいつものデビット・フィンチャーだとそうゆう映画であることが普通なので特別にがっかりもしませんでしたが。

 

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  いつも平日の初回にしか行けないので年配の男性客が目立つのは当然なのかもしれないのですけど、内容が内容だけにマニアック過ぎるといおうか(笑)同年代の男性の間でも「映画始まって期待外れですぐにがっかり爺さんVS長い前振りで徐々に気分を上げたい老紳士」のバトルが勃発して驚きました・・・さすが巨匠ポランスキー(?)。ワタクシ的にはS男だろうがM男だろうが結局女性にいつも「なんで肝心な所でお前は気が利かないんだ」と愚痴るのは同じではないかと映画観てしみじみ思いました(笑)。ヒロインのエマニュエル・セリエは終始身体をぶるんぶるんさせてたのがいろんな意味を感じさせて好きだった♡

 

  監督がフル・モンティ (字幕版)のプロデュースで有名になったお方と聞いていたのであんな猥雑な世界と今回のミニマムなストーリーと演出のギャップに映画開始後はしばらく戸惑ったのでした。しかし一見、小津チック+Mrビーンのコントかよな序盤から仕事をクビになった主人公が段々じわじわとアクティブになる過程で、熱血ドラマな一面が浮き上がります。主人公は職場から解雇が決まった瞬間から何故だかいろんな食物がもたらされるのが(ミートパイ、青魚、ハーゲンダッツのアイスetc)微笑ましく、感動のラストシーンとともに楽しんでね♡

 

  観る方によってなんか「ざわざわして落ち着かなーい」という気分になりますが、体感という経験をキツイ日々の修練で磨き続けている人間とそうでない人間との差が残酷なまでにきっちり描かれています。内容的にはオスカー獲れるような作品ではないですがノミネートされなければハリウッドが馬鹿にされるというクオリティの映画です。折しも2015年のアカデミーではどんだけLBGTジャンル系が入っていくるかというのが「密かな話題」だとは思うのですが、せめてコレぐらいはゴリゴリでないとハリウッド受けはしないかも。


映画『小さき声のカノン』予告編

 4月に観た日本のドキュメンタリー映画。渋谷のイメージフォーラムで観た時に何故か「母子上映回」ということで小さい子を連れたお母さんが二組ほど来ていました。上映前は小っちゃい子たち不安がって(劇場暗いもんね)いろいろ大声出していましたが映画始まると静かに・・・女性監督本人のナレーションで安心したんですかね。皆良い子たちで終わるまで特に席を立つというコトも無かった。小っちゃい子たちには自分とおんなじような元気な子供しか出てこないのですし。親の立場からするとかなり重たい内容なんだけど・・・。で2017年現在でも各地で上映周ってるそうです。

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 主人公二人はどちらも名優なんだそうで、丁々発止と重厚な演技が光ります。が、なんせどっちも70代くらいの爺さん同士なんで。設定ではおそらく年寄り見積もりでも50そこそこの将軍役の末っ子が「この前生まれたばっかりの赤ん坊」との台詞には若干(笑)、とはいえそんなチンケな突っ込みは消し飛ぶくらい、サスぺンスフルできちんとした娯楽作品でありました。情報を小出しにするってことは嘘つきとか不誠実とかでは必ずしもないんだよ、てことを学ぶためにはむしろ若いヒトにお奨めするよ。

 

  2015年の日本におけるアカデミー賞映画シーズンは久々の良作ぞろいで楽しかったです。この映画に関しては実はそれほど期待していなかったんだけどね。一見暗いんだけど根は楽天的な人間賛歌っぽい映画なので観た後になんだかホッとします。キツネに包まれたような詐欺にあった気分に陥るのが小洒落ている感があるよね♪

 

なんかいっぱい書いたので今回はここまで。