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法螺あぁぁーな女 ⑤ 「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」の石原さとみ(他)

 

 

 

「怖い」を飛び越えて「怒り」を呼ぶパターン、その二

 てことです。原作漫画「進撃の巨人」ファン多くが激怒、しかもグローバルちっくに国を超えてヲタクどもが拒否反応を示すっ!・・・という、かなり思いがけない展開がちょっとだけ「コトシの事件」となった実写版です。 そして今や年末、映画脚色担当の町田智浩氏が2015年日本の映画観客動員数データーを公開した上で、「原作通りに映画化すれば成功するのか?」(だったと思うのだが)を堂々とテーマに掲げてコラムを発表と映画公開終わった後も進撃が止まらない様子、なんであります。アタシ自身は特に前篇には興奮したクチだったので擁護したいと思ってたのにちょっと引いてしまったくらいなのですが(笑)そんだけ日本映画もグローバルに強気でいかなきゃいけない時代になったのでしょうか。・・・確かに現在アメリカ在住町田氏にとっては「いまどきの日本の若者に強く啓蒙してやりたい」という欲望をかなえる好機だった「進撃の巨人プロジェクト」だったのかもしれません。

いろんな意味で前半部「巨人の襲撃」は戦後日本のスぺクタル映画のお家芸

 まずアルモン(本郷奏多)によるナレーションが簡単に映画の設定を紹介してくれますが、前篇も後編も単なる雰囲気出しという感じです。ただし後編のナレーション部分では前篇の巨人の進撃シーンが結構トラウマになってたんだなと気が付く程、怖い。そんだけ壁を壊して入ってくる巨人と襲われるサマがもの凄かったということです。話の内容はともかく映像的にはPG12指定で良かったという意見があったようですがこれは同意しますね。エレン(三浦春馬)は当初、街に住む普通の威勢のいい若者だし幼馴染のミカサ(水原希子)はそんなエレンに忠実な「可愛い彼女」。かく言う私もTVアニメの第一シリーズを少ししか観てないので原作のファンには申し訳ないですが、ここいら辺の二人のくだりも(とりあえず映画2本分にまとめなきゃ駄目じゃん)むしろ映画の方が普通だろと、言いたいです。(笑)原作漫画のエレンという主人公は能力面でも感情面でも相当に不器用な男、という表現がしたいのかもしれませんが、実際には「やたら強過ぎる」と現状受け止められがちみたいですしね。なので原作のミカサは主人公の心理面の葛藤をフォローする為にもエレンとの癒着ぶりが激しい。漫画やアニメと実写映画の違いは何といっても「役者が正面(ガチ)で芝居する」ことなわけですから、エレンとミカサがなんだかぽやっとした状態で共依存しているってことを表現する自体が無理なんですってばぁ、いくら何でも。で、古参のヲタク世代としてはそういうコトもこの機会にぜひ知っておいて欲しいと願うのですよヤングなヲタクの皆さんには。で、壁を壊して街の中央部に侵入していく巨人たちに怯えて逃げ惑う住民達の芝居がホント恐ろしい・・・せまーい路地にぎちぎちにヒトが逃げ惑って身動きが取れないとか、建物に避難して外に置き去りにされた人々が次々食われていくは、弱い小さな子供が真っ先に死ぬとか、人々が大量に逃げ込んだ小屋そのものが「おいしい詰め合わせ」として巨人のお弁当になっちゃうとかね。戦後の日本映画ってこういうシーン作りは実に効果的に出来上がる。先の戦争時の空襲で何万人もの一般市民が殺されたり、核戦争の先駆けに付き合わされた経験はそれだけダテじゃないってことです。世界に誇る特撮のゴジラだってイターい敗戦の記憶から生まれた産物だというのが改めて理解できるというもの。そんな最中主人公のエレンがミカサと死に別れたと思い込んで復讐を誓うという前半部が今回の映画の原作を逸脱した最も大きな部分で、またエレンが入隊後にミカサと再会するというエピソードが原作ファンを「激怒」させることになりました。

エレンが無意識にうなじを抑えて「うぉぉー」と叫ぶ所で盛り上がらないなんて

 そうゆう「タメ」の芝居がヒーロー物の一番盛り上がるトコじゃない!(それともベタな「エイトマン」だの「デビルマン」だのぽいのはダサいのかい?)私なんかすぐにのっちゃうんだけなあ・・・。エレンは立体起動装置を使いこなす凄腕の女兵士になったミカサに再会してショックを受ける、自分は巨人の襲撃の時彼女を助けてあげられなくて辛かったのに、ミカサを助けた兵団イチの戦士と言われるシキシマ(長谷川博巳)の弟子&愛人になっちゃった。もう若い男子にしたら「あまりに辛すぎて茫然」するシチュエーションだわ、それこそ怖すぎて「怒り」さえ感じるくらい。 ・・・でも映画でのエレンは巨人の襲撃の時に本当に恐怖と無力感に押しつぶされていたとか、エレンに感情移入していた観客はそこで気が付かなきゃいけないのさ。主人公の痛い思いを共有するのもヒーロー物の醍醐味なんだよ、完全にアニメ中心となった「平成ヲタク界隈」ではこの感覚が稀になっちゃったんだね、きっと。エレンの他の仲間も原作よりは「昭和っぽい」の、三浦Jr(三浦貴大)とかさ(笑)。同じくオリジナルキャラクターの長谷川博巳に至っては【Amazon.co.jp限定】進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド Blu-ray 豪華版(2枚組)(限定非売品クリアファイル付)(前後篇購入特典:「前後篇豪華版収納BOX」引換シリアルコード付)あたりになると「アンタはまるでシャアのつもりかい」ってな芝居になってます。(劇場鑑賞後にどっかの主婦が発言していたよ)

石原さとみの役柄を「美少女アニメに出てくるマニア系萌えキャラ女子」

 ってアタシ本当に勘違いしていてさ(偉そうに言ってた割にTVアニメの第一シリーズさえあんまり見ていなかったんで、すまんね)ハンジ(石原さとみ)という人物は原作では両性具有的イメージで人気だったつうのがむしろ驚き。で、原作を改変した部分で唯一原作ファンに好評だっていう(笑)。やっぱり恐るべきは石原さとみの女子力かあ。埃だらけだろうが大股開こうが、デフォルメされたアニメ萌え美女よか漫画っぽくデフォルメした芝居の石原さとみの方が、断然可愛いもんね。で、原作ではあっさり変身して何が何だかわからないうちに「強者」に躍り出るのと違って、駆逐してやる!!衝動をいかに溜め込んで爆発させるかで前篇のクライマックスを引っ張っていくのよっ。そんな猛り狂った雄雄しい巨人に対して石原さとみのハンジは「こぉーんなの、初めて―!」て叫ぶ、嬉しいよあの石原さとみだぜ!進撃の巨人の世界観とか関係無く「雄気分」になっちゃった観客は皆嬉しいわっ、そんなことすら気が付かないなんて「ぽやっと」し過ぎだぜ!!

「縦長」大画面の恐怖・・・

 とにかく予告篇等で私がどんなに内容スカに仕上がったとしても観なくっちゃと感じたのは「縦上下の迫力で巨人の大きさを誇示する」という戦略に「これはひょっとしてアリかも」と思ったから。TVアニメシリーズの方がそれこそ「往年のシネマスコープ」感覚でしっかりした遠近法の構図とスピード感で押していくのとは違ったオリジナリティが楽しめるかもしれない予感がしたのよ。昨今のCG映画って基本「平面的でぺらっぺら」だからさ、それに縦長でデカい巨人が闊歩するのは圧倒的に迫力あるわ。筋肉質の「ドイツ人?」より腹ペコ平たい顔族の間抜け巨人どもに食われるのも哀しさと恐怖がMAXで襲ってくるしね(笑)。ガメラ 大怪獣空中決戦の時から「あれ、ギャオスが東京タワーに巣を作る画面がなんか縦長だ・・・」というのが不思議だったんだけどそういや平成のガメラシリーズは東宝ゴジラと比べてもキツキツで縦に詰まってないか?と思うシーンが結構あった。樋口監督は長年自分なりの特撮戦略というか怪獣映画戦略というものを練っていて今回それがはっきり打ち出せたということなんでしょうね。

 なので観客動員数データー公開とコラム発表を同時にやった町田氏の気分は自慢なのか自戒なのかはよく判らないのですが、監督陣はじめとするスタッフの自画自賛はヒット等を超えたところにあるやってやったぜ感に満ちていたのも多少は理解しませう。