ヤサグレ女列伝 ⑧ 「オール・チアリーダーズ・ダイ」のケイトリン・ステイシー他

 

  スーパーナチュラルバトルアクション?・・・って、テキトーだね(笑)

 というこのフレーズから言っても、いかにくだらない映画かが判るというものです。でも「くだらないけど、チャンと観られる」作品ではあるの。トロント映画祭では「地獄でなぜ悪い」と観客賞を争って惜しくも負けたというくらいのクオリティは保障されているらしいしね。監督コンビ(ラッキー・マッキ―とクリス・リチャードソン)が以前に発表した作品は(おそらく彼らの師匠ともいえる)アメリカのホラー小説界の巨匠ジャック・ケッチャム原作を映画化しているくらいなので元々は本格的シリアスホラー志向なんだろうと思われます。なので一見バカな性春コメディのような展開なのになんだかサイコっぽく、「最低男VSビッチ(性悪女)」と謳われていますが、本当に最低だったりビッチといえる男女は主人公の男女のみでこの二人のいさかいに巻き込まれた高校生たちが本当に可哀想だというのを映画終了してしばらく数分たった後に気が付くことでしょう、・・・つまり構成がかなり凝っているということよね。

 

 美人チアリーダーの死の謎に挑むヒロインと黒魔術ゴス少女

 マディ(ケイトリン・ステイシー)は高校のチア部に入ったばかりなのにすぐに頭角を表してすっかり周囲と打ち解けている。以前からケイトリンにべったりで黒魔術とかに凝っているゴスおたく少女リーナ(シャイア・スミット・マクシー)は心配するけれど、不慮の死を遂げた元チアリーダーのエース、アレクシスの事故に自分が居合わせたという経緯もありマディとしてはどうしてもだまっていられないのだ。アレクシスの死後、彼女の元彼氏テリー(トム・ウィルソン)はとっとと新しい彼女トレイシー(ブルック・バトラー)と付き合い始めるような始末だし、なんか怪しそうだね。高校のアメフト部は俺たちアメフトやっているんだから自分たちに高校の女どもが群がってくるのが当然だっていう態度なの。特にその中心人物にいるのがアメフトのキャプテンでイケメンで尊大なテリーっていうわけ。ただこの手の描写をそれこそ「ちょっと前に流行った学園スクリームもの」より更にダラダラした調子で描くものですから、ストーリー進まないような気がしてもそこはひたすらチアリーダーやアメフトチーム内のメンバーのキャラ紹介というか人間関係を頭の中で整理しながら観ていきましょう。後半はそこがポイントになります。私なんかアメフトの副キャプテンの男子の存在がソート―に薄くて、いちいち「こんなヒト居たっけ?」と思ったりもしましたが(笑)皆もそう感じるキャラが一人は出てくるはずです、でちゃんと仕事しているのを観て驚くっていう、そんな感じ。こうゆうのがB級映画の良さなんだよぉ、という方もきっとおられるのでしょうかね。

 

 ま、とりあえず彼女たちの「スーパーナチュラル」っぷりを楽しんでね

 というわけで。義憤に駆られているマディはトレイシーに「どうもテリーが他の女の子と浮気しているらしい」と告白する。金髪でいかにもイケイケっていう雰囲気のトレイシーはショックを受けて、そしてしだいに激しく怒り出しちゃう。チアリーダーのチーム内には他にも潔癖症貧乳姉とおとなしい巨乳妹のコンビなんかもいて、こっちの姉妹もアメフト部の男子を巡って三角関係らしきものがある予感。(でも姉妹に思われている当のちびっ子男はただ彼女(姉)に尽くしたらそのうちヤラせてもらえないかなあって妄想しているだけなんだわ・・・)そんなある夜、チア部とアメフト部の懇親会キャンプみたいな飲み会(高校生はホントはこんなことしちゃいけないよ♡)があり、お互い溜まっていた日頃のうっぷんが爆発してアメフト部とチア部は大げんかになってしまいチア部の車がアメフト部の車に追い回されたあげく、道路を突き破って川に激突してしまう。で、女の子たちゴス少女のリーナを除いて全員いきなり死亡!リーナは嘆きのあまり黒魔術を操り彼女達を生き返らせようと自分の精気を4人に分け与えて「見事生き返りました」のだよっ!・・・おそらくそうゆうことだと思う。(笑)

 ・・・でぇ、リーナを含めて元通りの生活を送るために五人の少女はいつでも一心同体ということになりましたとさ。なおかつオール・チアリーダーズ・ダイ(これ以上言いようがない)なものですから、もはや人間の食料で活動エネルギーにするわけにはいかないってことなの・・・かっ? 結局いろんな「意味」で男の精気を吸い取ることによって彼女たちは生き延びることになったのだっ! 最初に犠牲者は近所に住むオッサンのジョージだぞ、気の毒に彼はピチピチ女子高生に囲まれて生涯一番オイシイ思いをしたのか、彼女達に美味しく頂かれたのか、とにかくカッサカッサになっちゃう、怖いよね♡

 

 ビッチの暴走・・・そして「真の最低男」の覚醒だぜ! 対決だ!!

 でもアメフト部の男子たちにとっては交通事故に遭ったチア部の女の子たちを助けもせず、逃げ出したという悪夢に襲われた一夜が過ぎ、どーしよーどーしよーと内心怯えていたところへ欠席せずにきちんと登校してきたチア女子+リーナ達に驚きます。チア部の女の子たちが高校の廊下を胸張って歩いていくシーンが二度ほど挿入されるのですが、これが効果的な演出といえます。これで学校内で本当に傲慢で暴君的にふるまっているのは果たしてチア部の少女たちなのか、アメフト部のナンパ師集団の男子どもなのか観客の意識が多少混乱してくるのですよね。そしてどこまでも元気なティーンの女子高生でしかないトレイシーをはじめおのおの勝手にやり始めるのに身体は五人まとめて一心同体なもんですからいろいろ大変なことが起こります・・・きっと製作者側としては「こうゆうことヤリたくてわざわざ設定作っただろうがっ」的なエピソードが続くので皆さんお楽しみということで。(笑)その結果アメフト部男子は復讐の結果なのか、たまたまなのか次々と「カッサカッサ」になり、キャプテンのテリーの怒りは頂点に達していくのでした。そしてチアの女の子たちにも苛烈が走ります。マディが故アレクシスの事故と事故の真相を究明する決意表明をしている動画を仲間たちが発見してしまうからです。トレイシーにとってはテリーが浮気していると嘘を吹き込まれた上に、マディにレズの誘惑を仕掛けられたのもマディの計画的な偽装だったのを知らされ大ショック! そんでもってテリーの悪魔のような反撃も開始され、一気にホラーちっくになっていきます。もうここら辺はオカルトなのかリアル系サイコホラーなのかよく判んないけど、なかなかシャープに怖いシーンが続いていくのだっ!!

 

 (映画観た人に)あのさ、一番最初に死んだ女の子って・・・

 顔つき、なんかバカっぽくなかった? 最初は高校時代の記念にってカンジのビデオ撮影で、調子に乗ったのか舞い上がっちゃったのか、入念に柔軟体操やって張り切ってジャンプした途端に「補助してたはずのチア部男子」が受け損なって死んじゃったんだよね・・・アメフト部ハナっから関係ないよね、この事故には。ヒロインのマディ目線で一見物語が進んでいるので、何故マディがチア女子たちを心理的にコントロールしたがったのかもつい納得してしまいますが、よく考えたらヘンだわさ。テリーってやつがまた女なんかに絶対負けてたまるかな最低マッチョ野郎の側面がどんどん露わになっていくのがとても恐ろしいのですが、ひょっとしたら彼だって「いきなり理不尽な形で」女の子達に一方的に傷つけられた結果あれほどの暴走になっちゃったかもしんないよ。なのでホラー要素もエロ要素もとことんサイコロジカルな映画だと思って鑑賞するのがおすすめです。「やっぱり(こんなバカ話でも)一番恐ろしいものは人間のココロってことよね、きゃあ♡」と感じるか「なかなか今時の男女事情についての風刺がきいてるってことかい? でもパート2は勘弁だわ(笑)」と思うかはアナタ次第です。