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女学生の映画 ① 「制服の処女」のドロテア・ピーク他

 

制服の処女(ドイツ語完全版) [DVD]

制服の処女(ドイツ語完全版) [DVD]

 

 タイトルが過激に思えるのは「戦前」のドイツ映画だからさ

 

 なので別に「ポルノ」じゃないからね(笑)。とはいえ私自身も「難解な芸術映画だからきっとエッチなシーンがあるに違いないっ、だからNHK教育CHで放映するんだよ」だとか勘違いしてた時期がありました。実際TVで観たのは高校卒業してから2、3年経ってぐらいでしたが「こんなビンボーたらしい大昔の映画に身につまされる若者なんて今の時代ワタシくらいのものだわよ(涙)」って思ったくらい当時哀しかったのを覚えてる。何がどうって説明するのは簡単じゃないのかもしれないけど、このDVDの表紙にあるスチール写真の少女たちのルックスって現代基準じゃぶっちゃけ可愛く無いでしょ、おまけに体型ずんぐりむっくりでドン臭いし。でも私の高校時代や周囲の同級生たちのスタイルもほぼ戦前ドイツのイモいギャルとあんまり変わらなかったもん。何だかんだいって平成現代日本の十代の手足はこの映画の頃の少女たちより長いし、あか抜けている。以前やった拳銃魔 [DVD]の蠱惑的なヒロインのペギー・カミングスなんて女もスタイル的にはAKBの高橋みなみちゃん程度の等身ぐらいだし。そんなずんぐりした前世紀の少女、主人公マヌエラ(ヘルタ・ティーレ)が寄宿舎のある厳格な女子校に転校してくるところから物語は始まるのさ、教師たちにいろいろ質問されてもマヌエラはおどおどしっ放しだし「それで貴女下着は何枚持ってるの?」と聞かれた彼女はついに我慢できなくなってうつむいてしまう。マヌエラは軍人である父親の男手ひとつで育てられたものだから思春期になった娘に何が必要なのかいちいちワカラナイからね。そういう細かいディテールを描いたシーン積み重ねこそが魅力の映画だからさ。この後、マヌエラに自分のお古の下着をあげる若き美貌の女教師ベルンブルク(ドロテア・ティーク)との交情が物語の中心になっていくので、いわゆる「同性愛を描いた」映画として現代じゃ有名になっちゃったけど、ワタシはそうゆう部分はどうでも良くていつの時代にも共通する十代の女の子の「あるある」な鬱屈が描かれているのが好きだった。だから細かいストーリー実は覚えていないの。

 

 戦前ドイツにおいて「何故かメインのスタッフがほぼ女性」で製作されました

 

 原作小説、監督も女性。ついでに日本の映画史の中でも「女性の意見が通って日本での映画公開が決定された」というんで有名です。それで当時の日本でも大ヒットを飛ばし、その当時の世相を描いた貴族の階段 (岩波現代文庫)という小説のヒロイン達が冒頭の下着のエピソードできゃあきゃあ騒いでいるシーンがあります。現代だと女子高生の「壁ドン」妄想話で盛り上がるようなもんだね。女性が仕掛けて特に流行に敏感な女性ユーザー層が飛びついたヒット映画だったのでした。1931年のドイツで何故こんなことができたのかは謎ですが、ヒトラー登場以前のドイツはワイマール政権ってやつで非常に民主的な雰囲気の社会だったのとトーキー映画出始めの頃だったののも関係あるのかな。

 

 大人に「制服を着させられている」という哀しみ

 

 写真でもわかると思うんだけど、寄宿学校の制服はぶっとい縦縞のワンピース、コレ暗に「囚人服」て意味だよね。そして後のドイツではこの太い縦縞服をユダヤ人に着せたからアンネの日記―完全版等読んだイマドキの(ついうっかりと中高一貫の女子校なんかに通っている)女子高生はそれだけでも胸がつぶれそうになるかも。学校てのは十代に入るとそれだけでも鬱陶しくなるものですが、女子だけの学校特有の胡散臭さにはちょっと特殊なものがあります。具体的にいうと通学時の電車等では「あのお嬢様校に通ってる」つーだけで意味もなく痴漢被害に遭いやすかったり、学校にいれば教師や同級生たちの「貴女だって女の子なんでしょ」の同調圧力に一日中付き合わなきゃいけない。映画の「ワタシ達にはどうして自由が無いのかしら」的な状態とは無縁の楽しい女子だけ学園生活を送っているという貴女も、マヌエラ達が学園祭で盛り上がっているイイところで教師からジャマされたり、学校にお偉いさん(皇后様が視察にいらっしゃる)が来るっていう時に限って普段は着られないふわふわの白いドレスを女学生皆着用してお出迎え・・・というアタイらは大人の都合に合わせた人形かなんかなのかい!みたいなエピソードが続くと多少どんよりとはしてくるのではないでしょうか? ホント何故だかセレブとかエリート系のママやお婆様はやたらと女子校に通わせたがるので最近難関の中学受験を勝ち抜いて女子校に通っている女の子たちの中には内心怒っている娘も多いでしょう。そうゆう貴女はこの映画を観て自分の人生とか取り巻く環境とかについて考えるきっかけにしてください。

 

 

純情クレイジーフルーツ (集英社文庫―コミック版)

純情クレイジーフルーツ (集英社文庫―コミック版)

 

 

「女子校」というものの本質を知りたかったら

 

 さっきの「制服の処女」とこのコミックさえ読めば解かるんだ。後はほぼ要らないって昔は思ってた(実は今現在もそう思い続けてはいるけど)でも「純クレ」のハチャメチャで身もふたもない現実主義でドメスティックな娘ばっかりじゃないんじゃないの? だって「女の子同士なんだもの」・・・ってどうしても考えたい方たちは櫻の園 完全版 (花とゆめCOMICSスペシャル)の方が好きそうだってのも理解はできますが、あれは共学の学校を出た女の人が考える「理想の女の園」でありまして、天才吉田秋生センセーであっても本物の女子校の出身者でないと分からないことってあるのさ、むしろ「大人になってイマ振り返ると共学の学校で思春期を送るのは結構ツラかった」という女性達の本音の一端が「純クレ」「桜の園」の根強い人気を支えているのかもと思ったりもしてます。