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昭和の女① 「カルメン故郷に帰る」の高峰秀子

木下惠介生誕100年 「カルメン故郷に帰る」 [Blu-ray]

木下惠介生誕100年 「カルメン故郷に帰る」 [Blu-ray]

 木下監督生誕の地には記念館もあるよ、確か浜松市庁舎の近所(アタシは行ったことないけど)

 日本で最初のカラー長編映画です。長編っていうことは既に短編ではカラーあったんでしょ? と言うのは簡単ですが日本が第二次大戦ですっからかんになってる横で米国ではとっくに風と共に去りぬ [Blu-ray]なんか作っていて、戦時中上海あたりでそれを観ていた日本人(小津安二郎とか)いっぱい居たらしい。だからいよいよウチ(日本)もカラー映画だぜっ、と思ってもどーしたら良いのか実は皆悩んでいたらしいのさ。最新カラー技術だとそれこそ光の三原色と同様の方法(赤、緑、青の三食を組み合わせる)で彩色されますよ、っつったってさー、日本は国土の三分の一が森林じゃん、ロケなんかしたら画面が「緑(ミドリ)だらけ」にならないかい?と大騒ぎした人とかいそうですよね。カラー技術は二色法とか三色法とかいろいろ変わるし、やっぱり色によってはっきり発色するもの(赤、緑)としないもの(白、黄色)があるらしい・・・ということで木下恵介は「じゃあ、緑色を背景にして赤と黄色がばっちり目立つ画面構成にしたらいいよ」ということで、真っ赤なドレス姿の高峰秀子が黄色の服の友達(小林トシ子)と一緒に緑豊かな軽井沢の故郷に帰るハナシを考えました。ついでにカラーだけだともはや観客びっくりしないかもしれないので高峰の役はストリッパーということに・・・何故そういう試みを木下恵介がしたがるかというと、私はおそらく浜松出身のヒトだったからだと思います。浜松の人は後先をあんまり深く考えないで「誰もやってない」というとミーハー的に飛びつく傾向がしばしばあるからです。これを土地のヒトは「やらまいか」とかいって威張ったりしますが、私自身は自分の両親(双方が浜松出身)とうちの夫(浜松出身)を見る限り欠点の部分にどうしても目がいきがちになるんですけどね。

 カルメンの故郷の人びと

 「果たしてこれが典型的な田舎の人間の言動と言えるのだろうか?」・・・ひょっとしたら日本初のカラー映画だとかいう前にカルメンの故郷、浅間山麓を望む軽井沢の人びとにだいぶ違和感を抱く方もおられるかもしれません。だって田舎の人間がこんなにも新しモノ好きで、ドケチな金持ちが一番バカにされるという土地柄はかなり特殊では? 思うからです。「うちの田舎じゃもっとちょっと頑固な年寄りが怒り狂うはずだぜ」などと実際の長野県民が感じるとかね。木下恵介の監督デビュー作も「花咲く港」という3人の詐欺師がある田舎の港町で騒動を起こすのだけど、土地のヒトたちがあまりにもお人よしなので詐欺師どもが思わず己を反省しだすという話なんだそうですが、田舎の人間をただイイ人達という以上にどっかバカっぽく描くのが木下恵介の中期までの喜劇映画の特徴みたいですね。で、土地の人びとのモデルは当然木下が生まれ育った故郷の浜松の人達に決まっているのであります。皆悪気はなくイイ人達なのはもちろんですが、何故か口が達者すぎるというか、家族に対しても容赦なく何でもかんでも言っちゃうのだ。カルメンの姉(望月優子)も「あの子は小さい頃、牛の足に頭を蹴られちゃってねぇ、あれからちょっと頭がおかしくなっちゃったのよ」なんてかなりのんびりした調子でキツイこと言うし。そんでもって当時実際に居たの軽井沢住民よりもはるかに脳天気で、暇を持て余している故郷の人びとは「派手な東京帰りの娘」っていうだけでなんか期待しちゃうし、カルメンときたら自分のストリップを「偉大な芸術」と信じて周囲にもガンガン触れ回るからもう大変。観客の方が破たんを予測できるもんですから、のんびりした展開に途中からハラハラしてしまうのさ。登場人物が凡て「ボケ」で観客が「つっこみ」ながら観るという構造で、今観てもカラフルな映像ともに明るい戦後のモダンみたいなのが楽しめます。

 意外と再評価しずらい木下映画

 昨年2013年は木下恵介生誕百年ということで、DVD発売等は多少盛り上がったようですが、じゃあどこがそんなに凄いのさ? と問われると結構困りますね。黒澤明と並ぶ巨匠とまで持ち上げられていた1960年代あたりまではともかくとして、TV時代に入ると完全にTV系のヒトになってしまったし、80年代以降はほぼ映画製作の情熱も枯れて隠居状態になったようです。この「カルメン故郷へ帰る」にしても映像のカラー化するという以上に富士フィルムと組んで国産のカラーフィルム技術を確立することが大きな課題の一つだったようで、カラー撮影とモノクロ撮影を二種類同時にやって備えたんだとか。現在の映画における富士フィルムの果たしている役割の大きさを思うと(フィルム撮影の映画自体が少なくなっている中)まるで「プロジェクトX」みたいな歴史的感動は覚えるのですが、それだと映画作品としての感動とはズレちゃうもんね・・・私自身は木下恵介の映画を考える際、「ロケの天才」とか「シナリオハンティングの天才」といったらこの人ぐらいしかいないかもしれないと思ったりもしますが、それってどういうコト? と質問されてもうまく答えることできそうにありません。なんか映画というよりもプロダクト(製品)としての優秀さについて語っているみたいな気分になっちゃいます。

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 なぜ楽天アフィリエイトに入ったのかというと、実はこれをブログで紹介しろと夫がうるさかったからです。ほんのり甘くて、でもおたふくソースほどデミグラスっぽくなく美味しいのは確か。あんまり地元では買ってこられないので、今度浜松に帰省したら一升瓶分買ってこようかとまた言い出すのではないかと思うとメンドクサイ気分になりますが、大正13年から作っている由緒正しいソース。木下映画には出てこないけど。