特撮美女!!⑧「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」のキャスリーン・ターナー

 「特撮映画」と銘打つような作品でもないけど

 「白いドレスの女」でキャスリーン・ターナーの近況を調べたところ、なんかとても気の毒になりまして、じゃあ一番イケてた時代の彼女の活躍をご紹介した方がいいかなと。「ラッキー7」で特撮シリーズ止めようと当初予定していましたが、8だって末広がりで十分にラッキーな感じするし。そう、この映画の彼女はひたすらにポジティブでラッキーガール・・・それでいて少女趣味の仮面をかぶった物欲全開のイケイケなカンジがひたすらバブリーでまぶしい。これが映画公開の84年時点ではなんか可愛げのある大人のオンナだったのだっ!

 ベタなくらいにいちいちオーソドックスだけど・・・

 映画の脚本家はウエイトレスをしながら脚本の勉強をしていたダイアン・トーマスという若い女性で、そのせいでしょうかかなり昔懐かしの映画のエッセンスが細かく詰まっています。でも80年代だから、かつての映画だったら男性主人公がやるようなことをキャスリーン・ターナーが代わって挑戦していく、そこが当時目新しかったのさ。ジョーン・ワイルダーキャスリーン・ターナー)はNYに住む売れっ子のロマンス作家で、いい歳したハイミスだけど私生活もロマンス小説のようにしてみたーいと割と能天気な女性。そういやこの頃の日本も少女マンガやコバルト文庫なんていうライトノベルのはしりのジャンル小説の全盛期で、印税を眼一杯稼いだ若くてリッチな女流作家達が羨望と多少の侮蔑の目線で注目されていました、何故かというと彼女たちは自分で稼いだお金でラブリーな少女趣味の世界を追及し、ちょっとトウは立ってても見た目100%世間知らずのお姫様なのに、素敵な彼氏だけは傍らにいないことが多かったから。で、そんなある日のこと仕事を終えて自分の部屋へ戻ると、なんと泥棒に部屋を荒らされている! 南米に嫁いでいるお姉ちゃんからは電話がかかってくる!「コロンビアで自分はギャングに捕まっている、夫がジョーン宛てに出した手紙の中に地図が入っているからそれを持ってきてよ」ちょうど地図入りの手紙が届いたばかりだったので、ジョーンはコロンビアに飛ぶのですが、現地の言葉は通じないし、目的地に行こうとしても地図を狙う軍人に付け狙われたり、乗ってるバスが交通事故になったりするし。交通事故の相手がたまたまジャック(マイケル・ダグラス)というアメリカ人のぷー太郎だったので彼をパートナーにしてからようやく冒険らしくなっていくのでした。で、またジャックという男がいかにもロマンス小説にでてくるようなどっか安っすいカンジのワイルド男マイケル・ダグラスって特別体格が良いわけでも、喧嘩強そうでもないですが父親(カーク・ダグラス)譲りの要領の良さとハッタリの強さは人一倍で役にドンぴしゃです。主役だけでなく製作もしています。そしてこの映画の監督を担当したロバート・ゼメキスはヒットを飛ばした功績のおかげで念願だったバック・トゥ・ザ・フューチャー 25thアニバーサリー Blu-ray BOX [Blu-ray]シリーズの企画が叶うようになりました。良かったね・・・ところでなんですが、冒険とかサスペンス映画の男性主人公がよくやるような行動を女性がやってヒットできるって具体的にはどういうことなのでしょうか?

 謎めいた外国人作家がミーハーな女流作家に交替すると

 実は「ロマンシング・ストーン」と状況設定や全体の構成の骨組みがかなり似ている映画がありましてそれが一癖あるマニアックな映画ファンが好きな映画として有名な第三の男 [Blu-ray]ってやつです。どっちの映画でも主人公は作家で遠い外国で親しい友人・親族がトラブルに合ったというんで現地に飛ぶのですが、英語が全く通じない地域なので何にも分からないし、そうこうしているうちに怪しいヤツだっていうんで主人公自体がヘンな組織に命を狙われるっていうサスペンス。「第三の男」の場合は第二次大戦直後のウィーンで地元の人間じゃない男性のお葬式をしていると、故人の親友という作家(ジョセフ・コットン)がいわくありげにやってきて参列者や地元の警部達に警戒されるのですが、ジョセフ・コットンが秘密っぽい雰囲気を出しているのはこの冒頭部分だけで後はどんどん巻き込まれ型(しかも死んだ友人の為っちゅーより、友人の恋人のアリダ・ヴァリが気になるのであえて巻き込まれようとする)のヒーローになっていくのさ。「ロマンシング・ストーン」のヒロインが能天気なミーハー作家と派手にアピールしているのは、実はジョセフ・コットンの役が作家は作家でも英国人なのにアメリカの西部に憧れて西部劇小説で食っているのが途中でバレて、「きまずい・・・」となるのとちょうど正反対なのです。そしてどっちの映画でもとんでもなく異国のお大尽(ウィーンとコロンビアの組織のボス)が二流作家の主人公たちを「巨匠」としてあがめるエピソードがあるのも一緒。「ロマンシング・ストーン」ではジョセフ・コットンみたいにあえてトラブルに巻き込まれようとするマイケル・ダグラスの話でもあるので、そこもひっくり返っております。キャスリーン・ターナーはどこ行ってもミーハー女性として貫くので、南米のジャングルでもハイヒールとか履いてきちゃう、マイケル・ダグラスが彼女の靴の踵を斧で取っちゃうと「イタリア製なのにぃ」って怒ります。最初はとても冒険なんかできそうもないひ弱に見えた彼女が「ミーハーもど根性で進むと恐ろしい」という彼女の真価がそこから発揮されていくという展開も凝っていました。

第三の男 [Blu-ray]

第三の男 [Blu-ray]

 チターの響きに「騙されるなよ」

 英国のキャロル・リード監督作品はこの「第三の男」の他に落ちた偶像 [DVD]第三の男と同様作家のグレアム・グリーンと組んだ作品)とフォロー・ミー【Blu-ray】ミア・ファローが確かこれでオスカー取ったんじゃなかったっけ)が日本でも有名で三作品とも日本の映画ファンには人気があるのさ。で、みんな凄く面白いので私自身も鑑賞はぜひお奨めしますよ、でもねっ・・・三作品とも「何かビミョーにジャンルのど真ん中から外れている」感が否めずこりゃ一体何なんだろう? とずっと不思議な印象を持っておりました。「ゴジラ第一作」と同様、「第三の男をもっとも最後に観たのが良くなかった」んでしょうが、コレのどこが渋いサスペンスフルな大人の男の映画なんじゃい!!・・・かなり「お笑い」入ってるって現代の若者にも教えといた方が却って普及の名作としての高感度もアップするのでは。英国映画界の誇る巨匠はなんでもすこーし「はずしテク」を映画に効かさないと我慢できなかったみたいだぞっ!