2016年にわざわざ観に行った映画 ⑤

 

淵に立つ(豪華版)[Blu-ray]

淵に立つ(豪華版)[Blu-ray]

 

  この映画の登場人物達が「淵に立つ」状態だったシーンは全部でいくつあったでしょうか?・・・などと観賞を終えた後しばし考えてました。だから私はそれほど徹底的に救いがない話だと思ってはいないかも。しかしながら後日深田監督の案による「却下された映画コピー」というのをSNSで拝見しまして、さすがにコレでは観客ついてこないだろうに・・・という衝撃を覚えました。(そのおかげかどうか)結果として出来上がった映画の宣伝コピーは秀逸だという気がします。良かったね。

 

 確かに飛行機を河川に着陸させたのはサリー機長(トム・ハンクス)だけど乗客を無事に避難させたのはアラ還熟女CA達だからね。彼女らのドスの利いた「SIT DOWN  SIT DOWN」の掛け声にはパニック状態の皆も言うこと聞いちゃうのさ(笑)。そう日本人はこの映画が観た後は「USのCAはおばさんどころか・・・シニアが中心なのかあ」の現状により注目してしまうよね~。あとイーストウッド監督は若いころからシニア熟女の選択が上手い・・・趣味が良いんだあ。(笑)

 

高慢と偏見とゾンビ [Blu-ray]

高慢と偏見とゾンビ [Blu-ray]

 

  想像以上に英国映画的といおうか、格闘技シーン以外は結構本格派。なんでカンフーとチャンバラ描写の舐め方は半端ないのだが、あれはあれで「リスペクトの形」であり「charminng/愛嬌」だと思ってあげたらいいと思う。

 

  これエンディングにテーマソングが流れるんだよ、テーマソング流れるんだよ!!もちろん字幕で歌詞つきさ!!「007」シリーズの向こうを張る気まんまんさあ、今後もシリーズが楽しみだね。歌詞の内容も007と雰囲気違って意地っ張りといおうか無理やりポジティブなのが微笑ましい(笑)。

 

 

ダゲレオタイプの女[Blu-ray]

ダゲレオタイプの女[Blu-ray]

 

  この映画、お話は西洋版の〇〇だと思えば当然だったのかもしれないけど主役のタハール・ラヒムってヒトが童顔なんだよね。(実際にはもう35歳なんだが)設定の年齢は解からないんだけどせいぜい20代後半くらいの役だと思ってたよ。彼の最後の芝居とか、すごく「若い」の。それがもの哀しかった。

 

 

  しかし同じアニメファンでも熱心なピクサーのファンとガルパンのファンは全然違う、いやわざわざ比較する人間の方が頭イカレてるのかもしれないが。両者の思い入れとテンションの高さを目にする度に互いの爪の垢を煎じて飲みっこしたら良いのではっと傍から見てお節介なコトを感じる私。

 

この世界の片隅に
 

  

  息子連れて観に行った時も緊張して疲れたが、この映画の爆発的に拡大していった映画評を目にするのは更に疲れて混乱する。原作者の方も今だいぶお疲れなのではと勝手に思いをはせるほど。

 

  予告編の段階からレニー・ゼルヴィガーが十朱幸代にしか見えなくて困った。そうすると新メンバーのP・デンプシーなんてのは松方弘樹にしか見えなくなってくるし、もう頭の中半分は江戸城大乱 [VHS]なんかが上映中も渦巻いてしまう・・・

 

  面白かったけど、アタシの子供の頃はナチス物はサスペンス映画の定番ネタのひとつだったからね。アトム・エゴヤンって監督の名前は良く聞いていたけど観たのは初めてでした。

 

映画『灼熱の太陽』予告編

 映画公開時は11月だったのですが、その一二週間前から急に気温が下がり寒くなってしまったので、映画観賞を終えた後寒さが身に染みてしまった。思いの外公開を心待ちにしていたといおうか、観てイロイロ考えたかった映画。日本映画の劇作についての方法論に日頃から疑問を持ってる私には良い勉強になりました。

 

  もともと原作漫画に興味があって「漫画読まなくてもイイから有難い」が主な動機で観に行った。困ったことに原作ファンの女流監督による寛骨奪胎映画であった為、気に入って批評書こうとすると結局原作漫画を読まなくちゃならない。(どうしよう)なにせ他にも昔のATGの映画とかの影響等かなり混ざり合っているみたいだしね。

 

定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー

定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー

 

  観賞したのは上の著書の内容を下敷きにしたドキュメンタリー映画でした。

 

 「うちの息子にローグワンとLALALANDどっちが哀しい映画だった?って聞いたら、どっちもって答えてたよ」と、先日飲み会で発言したところ「ローグ・ワンのBD予約しているのにそんなこと知りたくなかった」という御仁がいました。観ていないのにBD購入する・・・むしろそっちの方に驚愕。

 

  伝説のアニメ作家の珠玉のアニメ映画の数々なのに・・・寝ちまいました(^_^;)そんな中で唯一鶴と鷺?のカップルを描いた作品が好きでした。なんだかいかにもロシアっぽい「悲恋の予感」をひっそりと描く作品だった。

 

 さて2016年もわざわざいろんなトコに出かけて観に行ったのですが、個人的にベストだったのは「ディーパンの闘い」。後は映画創ったヒトたちへの興味も含めて「サウルの息子」「ルーム」「マジカルガール」「淵に立つ」「溺れるナイフ」を挙げたいと思います。

 

 

 

 

2016年にわざわざ観に行った映画 ④

 

  (noteにも書いたけど)ヌーヴェルバーグ出身の映画作家の中でもロメールの映画は日本人にやたら好かれていて、劇場にいた特に熟年の男性層はかなりのロメールファンがいたみたいだった。結婚についての「肯定」と「憧れ」が強いんだよねロメール映画は。熟年野郎のロメールファンに既婚者が多いのかどうかまでは判別できないけど、主人公の女性に対する「相手にしつこいと悟られないように忍耐強くやる」は見習うべきかもね。

 

  映画で個人的にショックだったのは、神木君が「地獄に落ちる罪」の中に「水洗トイレで小の水で流さないといけないのに大の水で流した罪」という項目があって、うちの息子が幼稚園から小3年くらいまで「好きな水量で流せないのならおしっこの時には水で流さず放ったらかしにしてやる」というボイコットをしていた悪夢記憶が蘇ったことです。夫とトイレで喧嘩して以来しばらくそうしていた。どうでもよい話ですが宮藤官九郎監督様とウチの息子は誕生日が同じです。

 

  映画ラストシーンのBGMでは「HUSBAND,husband,ハズバンド、はずばんど~」ってずっと叫んでいたから続編が出てきても絶対おかしくはないと映画終了直後から思ったんだ。だから続編は「アンコールワットの近所にあるジャングル」とか「マヤ遺跡の近くにあるユカタン半島の密林地帯」とか舞台にして欲しい・・・という希望を持つヲタクが(約一名)日本には居るのですよ。(そのへんの事情はnoteに書きました)

 

疑惑のチャンピオン [Blu-ray]

疑惑のチャンピオン [Blu-ray]

 

  監督(スティーブン・フリアーズ)は最早「実録映画と言えばこのヒト」みたいなことになってんのでしょうか。まあ安定した巨匠の風格があります。すんごいねちっこい「顔のアップ」描写が持ち味だよねぇこの監督さん、と私は決めつけている。「マダム・フローレンス」や「クイーン」等もありますが、私がいつも観てしまうのはいつもマッチョでねちっこい系のフリアーズ作品です。(笑)故意にそうなってるつもりはないんだけどな。

 

シン・ゴジラ Blu-ray特別版3枚組
 

  主人公矢口さんの選挙区は山口三区という設定だとか。それなのに「妻は観たそうですが総理大臣が死ぬという内容だそうです」と怯えて観に行かなかった方ってどうなんでしょう。日頃から奥様の話をきちんと聞いていらっしゃるのかしらん。

 

  四月くらいから予告編がかかっていてずっと楽しみにしてた映画。US本国では公開前にトラブル続きでだいぶケチがついてしまいましたが。しかし今回の女性チーム版はゴーストバスターズリブートとじゃなくて特攻野郎Aチーム THE MOVIE(無敵バージョン) [Blu-ray]なんかよりはるかに出来の良い「特攻Aチーム女版」と呼んだ方が良い映画でした、脚本構成やキャラクターの配置がもろAチーム。キャストの中でレスリー・ジョーンズを集中的に攻撃した人間ホントは「ゴーストバスターズマニアのフリをした実は特攻野郎Aチームファン」なのですよ。!!・・・もちろんゴーストバスターズ&Aチームのファンという輩も履いて捨てる程いるのは解かっていますが、心あるヲタクな紳士はそうゆうことにもっと怒ってほしいです。

 

ハイ・ライズ[Blu-ray]

ハイ・ライズ[Blu-ray]

 

  製作がジェレミー・ト―マスっていうんで、だから映画のテンポがこうなのねぇ~て、とっさに感じた私は何故なのしょう。(笑)なんだか一気に崩壊していかないのよね、観ている方が「ショックで息の根がつまりそう」な寸前でちょっと休憩♡が始まってしまうのだ。だから暴力シーンが続いても次第に慣れて麻痺していくというか、冷静にはなっていく、好き嫌いもありそうですけどね。それを考えるとやっぱり戦場のメリークリスマス Blu-rayはJ・トーマス製作の作品の中でもかなりの名作だったのかあ。

 

  劇場で流れていた予告篇がとにかくカッコ良くて好きでした♡何度見ても楽しめた。ボヘミアンラプソティの21世紀版MVを有難う! それ以外は特筆することないわっ。

 

  橋本マナミのファンな昭和おじさんには楽しめると思います。一見難しそうだし、実際よくよく考えたらなかなか深いトコ突いている内容だとは思います(オカズにするのにも大半の殿方には難しそう)があ、いつものアクションもの飽きちゃったし・・・という時ぜひトライしてみては。

 

  見やすいなら隣席に人がいてもいいや・・・とうっかり座席指定したところ、なんか映画内容ととことん合わなそうなシニア男性の隣だったためか(笑)落ち着かないし「お互いの為にきっと向こうも気を悪くしないだろう」と席移動して鑑賞。じいさんひょっとしてちあきなおみ似とか八代亜紀似のガイジン歌姫のドキュメンタリーとでも思ったんかい。しかしエイミー・ワインハウスってホントいろんな意味で「貧乏なレディ・ガガ」なのね・・・彼女は持って生まれた才能があるのに不運だったことは多々あるけど同時代に自分とよく似た(それも外見だけでなく内面も)個性の持ち主がすぐ控えていたことが一番大きいかも。トニー・ベネットとのくだりで「あっちゃー」な反応になる人は多いと思う。

 

  いよいよ終盤のクライマックスに入る段階になってどうしてもトイレに行きたくなり大ピンチに!!んで、何故だか英国女王陛下に逢いにバッキンガム宮殿に乗り込む展開になるや、原作ロアルド・ダールなんだし一番の見せ場は「ココ」ね「次じゃない」と自分なりに見切ってトイレに駆け込みました。それにしてもBFGはグルメじゃない。

 

 

エル・クラン [DVD]

エル・クラン [DVD]

 

 

 映画タイトルが「エル・グラン」ってずっと間違えていた。予告編も検索できなくてずっと焦ってたの。でも少し前までは検索に上がらなかったし気が付かなかった。(笑)かなり凄い映画でいつもの年ならベストテンに堂々入るクオリティだったよ。何故だかラテン音楽じゃなくて80年代のUSポップソングがガンガン入っているし(笑)。おそらくそれも監督の戦略というかある種のメッセージになっているのかもしれない。

 

  とにかく中国で大ヒットっつうのはかなり怖いことなんでわ・・・と私なんかは強く思うのですが。でもあまりのヒットし過ぎにこの映画が内在する「牙」を抜こうとする動きも出つつあるような気がします。現実はなかなか手ごわいのだ。(最新写真で拝見した新海監督の表情は不機嫌そうだった)


映画『神聖なる一族24人の娘たち』予告編

 上映終わって映画館を出る時に一緒になった青年は肩をぐったりと落として疲れ切って立ち去って行ったよ(笑)ちょうど私も「君の名は」を観た直後にたまたま予定外で鑑賞したのだが、タイミングとしては最高だったよ♡あの疲れ切ったお兄ちゃんも「君の名は」観ていればいいのに(観てたらいいのに)。そんでもって君の名は盛り上がった恋したい気分と異性への憧れが続けてこの映画観て「ぐっちゃぐっちゃに引き裂かれて混乱」してたらさぞかし面白いのに・・・と妄想するだけで楽しいでぇーす。♡

 

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2016年にわざわざ観に行った映画 ③

  

 

  去年の大統領選挙の時タイムライン上に「どうしてぇ!皆ズートピア観なかったのおおお」というツイ―トが流れ、心の底で「そうつぶやくお前こそ本当に小学生なのかい?」と思いつつ引用してしまったよ。息子はGW中にちゃっかり私の実家の母たちと(私をのけ者にして)観に行ってしまった。しかし大人の私が観るとかなりきわどくて禍々しい処のある映画だったんだけど。もっとも「ジャングル大帝」とかだけでなくラブリン・モンロー 1~最新巻(ヤングマガジンコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]あたりの漫画も読んでいるしょうもない大人だからそう感じるだけなのかもしれないがっ。

 

ちはやふる-下の句-

ちはやふる-下の句-

 

  この映画だって(上の句編含め)本当は結構凄い映画だったと思うんだよね・・・まあ続編もあるそうなのでその時に改めて評価されるといいね。

 

  映画でもフィーチャされている「ベン・ハー」は2016年にホントに超大作として米国では公開されたみたいですが、日本ではDVDリリースとなりました。(^_^;)

 

ヴィクトリア [DVD]

ヴィクトリア [DVD]

 

  東京はベルリンよりもずっと広くて若者たちはお互い狭い世界の中に閉じこもっているのかもしれない。この映画の若者たちの映画評レビュー読んでそう思いましたわ。戦後高度成長期なら成立していたタイプの日本の青春映画にしろ、「ヴィクトリア」みたいなのにしろ、もはやコッチで製作するのは無理かもしれん。

 

殿、利息でござる! [Blu-ray]

殿、利息でござる! [Blu-ray]

 

  興行収入13億円突破!!って言い張って威張るぅぅ・・・って凄いわ。松竹映画だからなのよね、松竹にとって映画産業というビジネスモデルはそうゆうものなのよねぇぇ。現在本社ビルには居住マンションが乗っかってるしねぇぇ。(先日久しぶりに立ち寄ったよ)映画には大人たちに交じって楽しそうに観ていた社会科好き小学生たちがいましたが彼ら達が「なんとなくがっかり」しないような路線も作っていきませんかあああ、「利息でござる」は近年の松竹の時代劇の中でも屈指の出来ばえなのですから。

 

  今現在US映画市場を支えている観客層の多くは黒人層なのでわ。この映画や今年のオスカーノミネートのラインナップを観ても強く感じます。配信サービスの普及で映画の視聴スタイルが変化すればするほど映画館で熱狂するムーブメントの推移もまた注目されるようになってるのかもね。

 

 

デッドプール (吹替版)
 

  私には面白かったよ、確かに一番面白かったのは冒頭部分のタイトルバックではあったけど(笑)。ウィキペディアみたら、ライアン・ゴズリング念願の企画だったてのを知ってなんだかまた好感度が上がったわあ。(キャハハハ♡)

 

FAKE ディレクターズ・カット版 [DVD]

FAKE ディレクターズ・カット版 [DVD]

 

  2016年のベスト映画に挙げている人も居たね。私はドキュメント映画がフィクション物より「エライ」決してと感じるタイプではないのか、その年のベストとかにドキュメント映画を入れるという発想がなかなかできないのだ。

 

クリーピー 偽りの隣人[DVD]

クリーピー 偽りの隣人[DVD]

 

  2016年度で一番「キモ面白かった」映画。しかも性質(タチ)が悪いのはちゃんとしたプログラムピクチャー(王道の映画って意味の方)だっつうことね。ある意味一番普通の映画の顔しているの。松竹でプログラムピクチャーったら「富士山」出た瞬間に観客は「寅さん」「釣りバカ」等がサブリミナルされて来ることが多いんだけど・・・それを「逆手にとって」怖がらせるやり方を一部してます。(笑)

 

 

  眠かった・・・スゲー眠かった・・眠いことも含めて「価値」だって映画のチラシにもあるくらいなんだよ(笑)でも主人公の爺さんの着ていたピンクのフリルシャツがエラいカッコ良かった・・・御洒落だあぁぁ・・・と思いながら睡魔と闘って観ていた。

 

  私自身はクローバーフィールド/HAKAISHA (字幕版)の方を今でもあんまり評価していないんだけど、こっちのヤツは予告編から観たくなってしまい「なんだよクローバーフィールドなんて認めてなかったんだけどお」と思いつつも、観たらやっぱりかなりの面白さでした。

 

あやつり糸の世界 Blu-ray 初回限定生産版

あやつり糸の世界 Blu-ray 初回限定生産版

 

  以前から名前だけ知っていたニュー・ジャーマン・シネマのファスビンダー作品。想像していたよりも怖くなくてわりとポップなカンジだった・・・とにかくいかにも70年代チックな映画、って思ってたらTVドラマシリーズだったそうな。(実は思いっきり手持ちカメラの影だかみたいなのが画面に映っててびっくりしたシーンあり)

 

2016年にわざわざ観に行った映画 ②

 

  この頃から別口のブログ(note)を別口で始めました。近所のシネコン以外で観た映画について主に書いています。で、これが初めて取り上げてみた映画。製作を兼ねているブラッド・ピッドの中年太りの体型作りがなかなか堂に入ってました。(でも目立たないw)

 

Hateful Eight [Blu-ray] [Import]

Hateful Eight [Blu-ray] [Import]

 

  こっちもnoteに書きましたがまだ書き足りないのでこっちでもいつか取り上げたいです。それにつけても清須会議 スタンダード・エディション [DVD]なんかが公開された頃には「やっぱ日本の時代劇はVFXとかで工夫すれば何とかなる部分があってラッキー♡だあ。西部劇はロケ地とかの問題があるからそれだけじゃどうにもならないもんね」と舐めて考えていたのを思い出します。二年もたたないうちに清州会議と同じ美術監督が西部劇を担当するとか、レオ様主演のマイナス40度の極寒ロケ西部劇なんてのがボンボン出現してくるとは思いませんでした。基本的に私考え方が浅はかなもんで反省。

 

マジカル・ガール [Blu-ray]

マジカル・ガール [Blu-ray]

 

  いやあ「サウルの息子」を観に行った際に予告編を観てずっこけてしまい、ホント怖いもの見たさでドキドキしながら観に行きました。

 

ちはやふる-上の句-

ちはやふる-上の句-

 

  これは近所のシネコンで。いい席を観たいからってオバちゃん(私)とOLの二人組に挟まれた真ん中側の席に躊躇なく前のめりに座って観ていたメガネ男子高校生がいました。彼の場合は「すずちゃん」になのか「原作漫画」になのか、おそらく異様な入れ込みをしていると思われますが、とにかく彼が周囲をガン無視している姿に清々しさを感じたくらいです・・・

 

木靴の樹 Blu-ray

木靴の樹 Blu-ray

 

 とにかく男の子が可愛い。英国映画とイタリア映画は実は可愛い男の子で魅せる映画が多いです。特にイタリア少年は大抵が擦れてなくてただただ可愛らしい。

 

  とにかく最近のDCコミックの映画ばかりやたらラズベリーがらみだったり、ワースト扱いが多いのは予告編や宣伝の出来が洗練されてカッコ良いことも一因ではないかと思うくらい。実のところ日本では判官びいきの隠れファンが多いです。ウチの息子は前年の10月から「この映画絶対観たい、連れてけ」と力入れてました。なんかスーパーマンに強力に思い入れしていた・・・何故?

 

ルーム [Blu-ray]

ルーム [Blu-ray]

 

  この映画ハリウッドのジャンル物としてはある種の「innovasion」になったはず。だからこそ日本のプロの映画批評家にはウケが今いち良くないのよね(笑)。ベストセラーの原作者も監督も女性。こうゆうのをいち早く取り込んでハリウッドではヒット作を既に出しているという事実もあるのにさああぁぁ・・・。(ケツの穴が小さいJapan)

 

ボーダーライン(字幕版)
 

  オスカーでも有力視されている「メッセージ」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品ですがこの映画はつまらなかったです。べ二チオ・デル・トロ様で続編をやりたいという希望が企画当初からあったのかどうかは解かりませんが、それを踏まえて逆算して構成をしたかったための女性主人公という選択でもしあったとすると、必然的にケチくさいB級アクションものにしかなりようが無いのですだ。これを本格アクション映画だと評価する貴女はあまりにもウブが過ぎるというものです。この映画を本気で面白がっている男だとヲタクとしてもセンスが無いのでは。個人的には同じヲタクでもデッドプール (字幕版)あたりを喜ぶスケベの馬鹿タイプの方がまだマシだと思われます。

 

グランドフィナーレ [Blu-ray]

グランドフィナーレ [Blu-ray]

 

  うら若きカップルでこの映画観に行って(まあ殆どありえませんが)彼氏の方がサウルの息子 [Blu-ray]を面白いと言ったり、秋口に「エル・クラン」あたりの新作映画を探してくるようなヒトだったらたとえ「キモくてカネのない若い男」でも付き合うといろいろ発見があるかもしれません。ただし年を食ってもこの映画の中のマイケル・ケインハーヴェイ・カイテルのような渋くてカネの有るオッサンに化ける可能性は極めて低いことでしょう。

 

スポットライト 世紀のスクープ[Blu-ray]

スポットライト 世紀のスクープ[Blu-ray]

 

  なんかこの間アカデミー賞直前になって「最近の映画はアップ画面ばっかり」と愚痴めいた米国の映画コラムも読んだのですが、この映画とレヴェナント:蘇えりし者 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]に関しては許してくれよおぉぉ・・・て気がいたします。で、この映画も日本の一部のマニアには「だから何なんだよ」でそんなに評価していない方もいる様子。でも結構「ぬけぬけと大胆」な作り方していると私は思いましたけどさ。冒頭、警察に逮捕されたカソリックの司祭があっさり釈放される、警察官も「毎度のことさ」って態度で、という素っ気ないシーンから始まり、いかにもデジタル撮影ってかんじの小刻みな「顔のアップ」や画面から(わざと)人物が切れたような構図、軽快にさえ感じる編集で事の顛末と真相だけが淡々と語られるのです。編集賞もノミネートされ結果として作品賞、脚本賞をゲットしたのも露悪的に語るのではなくバランスの良い表現が評価されたのでしょう。ちなみに撮影監督は日系の方みたい。

 

  noteにも書いたのですがとにかく眠かった・・・私でも今年は「眠たい映画もそれはそれで有難やありがたや~」の極致に達するまでに至った何本かの映画がありこれはその最初の一本目(笑)。

 

  今まで西部劇でネイティブの弓矢がこれほどまでに恐ろしく強力に描かれたのは私観たことありません。冒頭の襲撃シーンではレオ様の側のライフルなんかまったく歯が立たないの。熊がCGだろうがデジタル撮影がぶれっぶれだろうがいいじゃあないのっ。週刊〇〇の映画評読んでさすがにげんなり。最近通販番組によく出ている映画監督さんはこのまま通販番組だけに出て悠々自適にされたら良いと思います。

 

アイ アム ア ヒーロー

アイ アム ア ヒーロー

  今(2017年2月現在)はDVD在庫切れかい?AMAZONは取扱いしてないぜ。・・・しかし年末この映画を「逃げ恥」がらみで紹介するようになるとは思ってなかったし、興行収入100億軽く超えた映画撮った監督が「デスノート」のなんちゃって続編映画で嘲笑されるなんて少し哀しいよ。シン・ゴジラの総監督とは扱いがエライ違う。

 

で、今回はここまでっ!! 

 

 

 

2016年にわざわざ観に行った映画 ①

 

 とにかく観る前はBB-8が気に入らず、TV予告編でもR2D2とパロをヘンテコに合体させてんじゃねーよっ」とひたすら怒ってたのですが、動き方が思いのほか愛らしかったので許そうと思いました。最後カイロ・レンがハン・ソロアレしちゃうものですから一緒に観に行った夫は暗くなり、息子はそれを観てちょっとへらへら笑ってましたあ。

 

 

Saul Leiter (Photofile)

Saul Leiter (Photofile)

 

 写真家ソール・ライター急がない人生で見つけた13のこと

 映画の字幕を人気翻訳家の柴田元幸氏が担当しています。しかしNYの住人に関するドキュメンタリーは数多いですが凡て「ライフスタイル」に関する話が中心になってしまうよう。二十世紀最高の写真家の一人であるライター氏の場合は半世紀以上もやたらとときめいてばっかりいるせいか家の中は捨てられないものでいーっぱい。インタビュー中も背後でココアをレンジにかけっぱなしで話続けてるシーン等があるので、おじいちゃんココアこがさないでぇ~がやたらと気になりました。巨匠はココア好きらしい。

 

  映画の冒頭15分くらいは眠くなってしまい・・・「そうだ今回脚色はコーエン兄弟なのだっ」と意識的に目を覚ましたら後はしっかり集中できました。ペーソスもユーモアもあり、トム・ハンクスは実在の人物なのですが続編で映画一本撮れるくらいに当時活躍した人物みたいですね。共演のソ連スパイを演じたマーク・ライランスは年齢はぎりぎりおっさんなのですが、今後ジジイなスターとしてブレイクの予感。続けてBFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント ブルーレイ(デジタルコピー付き) [Blu-ray]でも大活躍なんだぜ!!

 

 おそらく「名作」入り確実な映画。ただし今現在では皆この映画の価値を細かく評価できる 余裕が無し。んで「サークル(〇)」のフェチというフランス人以外には考えられない病を持った主人公が気が付いたら「フランス」の国や文化までも飛び越えてしまいNYのフランス人になっちゃいました~までの経過を描いているお話でもあります。J・ゴードン・レヴィットは大学でフランス文学やってたそうなのでフランス語はぺらっぺら。なんだか楽しそうに演じている(私にはね)ように見えました。

 

サウルの息子 [Blu-ray]

サウルの息子 [Blu-ray]

 

  ミニシアター系では年末から公開の正月映画では一番当たったやつ。何故だかリピーターも含めて圧倒的な男性客の多さでありました。いくら地味な題材でヒットとはいえ何故だろう・・・といぶかりながら鑑賞してたんですが、この映画「音声の演出」が独特といおうか、収容所のシーンでいやだわ誰かが後ろの席でぶつぶつ独り言ってるぅと思ってきょろきょろしたんですけど各地から集められたユダヤ人たちの様々な言語がいろんな処から聞こえてくるのを表現したかったのかどうも劇場のスピーカーが四方に散っていてそれぞれ別々の言語の話声を聴かせるようになっていたみたい。一種のライブ感覚というか臨場感がクセになるのかおそらく何度か見に来た方多数おられたかもしれません。映画の内容にしたって特に男性客には(老いも若きも)泣けるしねラスト。私は途中から「そんなんしなくても・・・」と少し引いてましたが最後の最後に分かったよサウルそれよく解るよきもちぃぃ~どぉぉぉ(涙)~ってなりました。

 

  これも親子三人で観に行き、火星探索船の女船長(ジェシカ・チャスティン)が最後活躍するのを観て夫が少しいじけてブチブチ言うので、その日の夕食後は映画の感想で多少言い合いになりました。どうしてあんなちっちゃい事を気にするのでしょう、会社で思いやられます。この映画ホントは女性のリーダーシップについてのメリットとデメリットについて詳しく描いている映画だというのにっ(怒)。息子はNASAのマイペースなエンジニアのキャラが気に入ってました。

 

  字幕担当は松浦美奈さん。個人的には戸田奈津子女史よりも多くやってるのを拝見するのですが。何故だか字幕とケイト・ブランシェットの音声との間にシンクロといおうか「空耳アワー」な瞬間が二度程あって、さっき今「支払いしたらいいのかしら」の字幕に「支払いPAYNOW」だとか「不味いコーヒー」の字幕に「MAZZLI,COFFEE」とかキャロル様おっしゃってなかったかしらん??・・・て気がしてしまいました。嗚呼、字幕映画が無くなっちゃったらどうしようって危機感があるのではコレやったヒトはあ~頑張って、と何故かおもっちゃったですその時。んで「沈黙 サイレンス」でも松浦さんが字幕をやっていて、結構意訳かなあ?と思った箇所もあったんですが芝居の流れからするとむしろ登場人物の感情を素直に表現する為にしたんかなあ・・・って嫌な感情は起きなかったです。

 

  面白かったよ!!

 だから別のブログ(note)に詳しく書きました。

フォークロア(民俗学)の女 ③ 「シン・ゴジラ」の余貴美子

 

シン・ゴジラ Blu-ray特別版3枚組
 

 コアなファン以外には「おふざけが過ぎた」紅白版ゴジラコント

 でもでも「良質な音楽」と称して、ピコ太郎に聖歌隊をしょわせたり、XーJAPANのTOSHIサマの歌声をマーズ・アタック! [Blu-ray]ヨーデルと同列に扱った悪辣なヲタクネタには少しだけ嬉しかったよ。(笑)・・・まあそれだけ2016年度の「現象」にまでなったゴジラ最新作です。先日YOU TUBEで米国公版の予告篇を拝見しまして「そんなに有名なのかエヴァンゲリオン庵野秀明って」と改めて驚いたんですが、予告編自体は樋口真嗣特撮監督以下の特撮班チームが各自頑張って撮影した映像の良いところを繋いだという印象が強く、映画の出来は共同作業の勝利って気がしなくもないですけどね。ただ庵野監督の特撮のコダワリは他のスタッフと比べてもやっぱり突出して異常な処があるとは強く思います。庵野さんて要するに「ウルトラマン」のTVシリーズでもよくやった「バルタン星人やゼットンが物理的法則や重量を無視してボワッと浮いている」みたいなのに熱狂してたんだろうな・・・てド素人が観ていてもすぐに気が付くぐらいですからね。私エヴァTVシリーズも大昔に1話から3話を再放送で観た記憶しかなく、こんなシュールな映像センスで平面的なアニメ表現が保つかよ「異常」・・・というストーリー展開を含め嫌悪感しか抱かなかったもんです。それが大ヒットして現在に至っておりましたし、今回のシン・ゴジラにも庵野印の異常性は生かされてはおります。実は私心配しながら観に行ったクチなので、思ったよりはずっと「大人の映画」でしたよお。(笑)

シン・ゴジラ」には「人間的な愛」の表現や言及が無いという人へ

 まずキミは冒頭に登場する謎の個人船舶と「自殺の意思を表現するために置かれた男性用革靴」のシーンを覚えているかい?とにかくこの映画ハナっから「狂気の愛しか存在していないってことだからねっ♡。塚本晋也博士がぶつぶつ言いながら解き明かす謎を提示する牧吾郎(岡本喜八)は異端の科学者ゆえに米国で活動していて妻は放射能被爆で亡くした恨みを晴らすために、海洋に廃棄された放射性廃棄物を捕食して進化した海洋生物「ゴジラ」出現の予知とその解決策の開発に生涯をささげていた?・・・この辺の設定がもう独りよがりの妄想が現実化したと受け取る方もおられましょうが(笑ゴジラ(昭和29年度作品) 東宝DVD名作セレクションの芹沢博士(平田昭彦)のケースと比べても「リア充」度が高いだけまだましかも。初代ゴジラにおける芹沢博士のはかなくてなんだか異常な愛の記憶が蘇る特撮映画ファンにとっては冒頭部のヨットのシーンと今回の主人公矢口(長谷川博巳)を中心としたチーム活躍の過程で「愛お腹一杯」です。カヨコ(石原さとみ)と矢口との丁々発止やり取りもやっぱり恋愛なしで十分だし、だいたい温いカップルやってる暇はこの映画には無かったよ。

シン・ゴジラ」には「人間の死」が描かれていないという人へ

 じゃあゴジラ破壊後のがれきの中に人の死が混じっているシーンなんか観たかったのかい? 出動した自衛隊が民間人を避けようとしてゴジラ襲撃のチャンスを逸したとかがいかにもご都合的できれいごとっぽいとでも感じたのかな。でも今の日本人にとっての身近でリアルな「死」の表現を模索したら果たしてどんな手が良いんだろうね?ついこの間も日本は大規模地震や台風なんかがあったばかりで災害でいきなり家族を失う人も出現したけど、そういう人々でも実際はどんな時に「ついさっきまで自分と一緒にいた人間が死んだ」を実感するんだろう。初代ゴジラにしたって一番印象に残るのはゴジラ襲撃で街の大通りに幼な子を抱えて座り込んじゃった母親の「これでお父様のところへ行けるわ」と繰り返し叫んでいたのが一番観客が身近に感じた「死」の象徴的なシーンだったからさ。初代ゴジラの21世紀版を作るにあたっても引き継がないといけないのは人間の死というものを決して「死体」で表現しないという方向性でシンゴジラはかなりオーソドックスにやってるんだよ、あれでも。そうシンゴジラでは一般市民の犠牲者で「死」を表現するわけにはいかないということで、選択したのは現閣僚一人残し「内閣の大臣総死亡」というアイディアだったのさ。死体ではなく「存在の欠落」としての死を描くなら、映画の前半日常性や緊張感の無さや「無能」さの象徴としてひたすらボソボソダラダラと描かれる大河内総理(大杉連)をはじめとする閣僚会議とゴジラ上陸が並行して描かれ、両者がシンクロするのか?と思ってる間に映画から存在自体が無くなってしまう・・・だよ。ゴジラが日本の中心地を口から放射能吹いて全部消しちゃうの。あの時のシーンは鷲巣詩郎の音楽が被るとさすがになんだか哀しかったです。矢口が思わず「あれがゴジラ・・」と呟くくらいに何故か魅入られてしまう。でもそのおかげで自分たちが当たり前のように思ってた世界が一変するのさ。立川にたどり着いた矢口はボロボロで周りに「すぐ着替えなさい」と促されても自分の上司の東副長官(柄本明)が死んじゃった事実をどっかで受け入れられない。そんな時に矢口に声かけるのが与党の有力な若手政治家の泉(松尾諭)で「とにかく君が落ち着け」て例の有名がシーンになりますが、ゴジラがやって来たっつうのにもろ今時オーダーの三つ揃いスーツに頭テッカテカで「世襲で順調に出世してます」て名札が張り付いた若年寄のオッサンに言われたくないんだよおお!!な感情を観客に引き起こすのが良かったです。この後出てきて世界的にもウケた里見農水大臣&総理代行(平泉成)の「らーめん伸びっちゃったよ」もそうなんですが、どうせ緊張感だけではないリアル感を出そうとしてもなんか表現が温くなっちゃうのは仕方ないのならば、ヘンに感動的だったりポジティブな共感を誘おうとするよりも、いろいろダサくて突っ込みどころ有りすぎニッポンを強調する方がベターなのではないでしょうか。世の中には皆が協力したり考え方を少し修正すればばなんとかなる惨事に対しても「道険し」を象徴するには政治家達のサマが一番適当と判断した演出はもっと評価されても良いと思います。

それにしても防衛大臣の「アイライン」

 とはいえ「結局のところ今度のシン・ゴジラって昔のヤマタノオロチを退治するために、勅命を受けたナントカの尊が活躍したしたみたいな話になっていると思えばいいよお~」と私が言うと「その通りだと思うが、そんな話になっているからこそ下らない映画になっているのだっ」ていう指摘をする方もおられます。まあその辺が一番賛否分かれるところなのでしょう。日本の官僚や政治家があんな優秀なはずないじゃんか、ヒロイックに描き過ぎ(ハリウッド映画と比べてもか?)・・・な感想もでてくるわけですね。しかし今回東宝は元々GODZILLA ゴジラ[2014] Blu-ray2枚組のヒットを受けてゴジラ最新作製作を決定した経緯もあるので「ディザスター映画としてのゴジラ」を企画段階から問うという作業をしていく流れになったとも私なんかは推察します。その為以前のゴジラ映画のように一般人に主人公を託すことは諦めて日米の「国家としての危機管理」の違いを浮き彫りする展開にはなりますがあくまでも国家存亡の危機をもたらす危険を取り除く方法とスタンスの違いを描くために矢口とカヨコは対峙しているだけでありました。そして前半の大河内総理と花森防衛大臣余貴美子)の緊迫したやり取りは「日本という国の成り立ちが自然でなんとなく出来上がった」ために誰がどの程度責任を取ればコトが収まるのか?という方向にしか議論が行かない悲喜劇のようでしたあ。花森「総理がご命令してくれば我々は攻撃を開始します」(段取りはできているから号令かけてよ)大河内「しかしぃ」(いいのかなあ、もし取り返しのつかないことになったら)花森「いいですか!撃ちますよ!」(だから失敗したら皆で責任取るんでアンタだけの所為じゃないでしょ、アンタが号令かけないとシタの人間が迷惑すんのよ早くして!)と詰め寄る花森大臣の顔はカッサカサで、いつになく上下びっしり描いたアイラインが困惑と疲労を映し出します、かなり怖いっす。なんで個人的にシン・ゴジラのヒロインと言えば石原さとみでも市川実日子でもなく断然余貴美子サマということになっちゃいますね。

 んで矢口は思わずカヨコに「じゃあ米国の想定外の危機管理というのはどんな風にやるんだよ」とふっかけたりするんですが彼女はそれに対して「大統領が決断するもの」の一言で済ませます。表現を変えると米国はマニュアルで作った国なので崩壊するとしたらマニュアルが間違っていた、あとは知らねえよってことなのでしょう。これも八月の公開時には稚拙で素朴過ぎる議論だなあ・・・笑って済ませていられましたが、今現在に至っては意外と洒落にならない台詞となってしまったのかもしれません。

 

 

 

法螺あぁぁーな女 ⑥ 「アイアムアヒーロー」の片瀬那奈他

 

イマ現在、日本映画におけるゾンビ映画の到達点のひとつ

 このDVDパッケージ観るかぎりは出演者の皆さんあまりゾンビには向いてない御顔立ちのようなんですが・・・有村架純ちゃんは頑張ってましたよ、〇ン〇。まあどう展開されるかは観てのお楽しみということですけど。怖い日本映画ホント苦手なのでゆっくり鑑賞しつつ、そしてとっととまとめて封印したいくらいですが、こういう映画が昨今ぽんぽん出てくるので困ります。ただし日本的な湿気を極力抑えたホラーではあります。後半に登場するアウトレットモールは韓国でロケをしたそうで、すげえなこんなセット作って外国のロケハン呼び込むのかあと感心してたら、実際に倒産したアウトレットモール跡だそうで、そっちの方にびっくり(笑)。日本じゃここまでダイナミックな廃墟は無さそうだしなあ、いかにも「ダサい施設」だからつぶれましたってトコしかないもんね。

二十一世紀になって新たな展開を始めたゾンビ映画ジャンル

 私が子供の頃の「ゾンビ物」と言えばジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」の超怖い映画・・・という以外の印象しかなくあくまでも一部の熱狂的ホラー映画ファンが観るものというイメージがずっとありました。大昔「ゾンビ完全版」の予告編だけ見せられて(確か新宿武蔵野館だったような気がする)困った経験があります。それが2002年にダニー・ボイル監督の「28日後」というわりと普通のドラマっぽい映画が登場し、様相が変わってきました。日本だとそれ以前から映画ではなく「バイオハザード」というゲームソフトでゾンビ物に対する興味というか執着があったものの、なんだか日本映画でゾンビって恥ずかしい・・・という気持ちが先に立ったのかジャパニーズホラーが世界で注目されてもゾンビ映画はなかなか登場しなかったのですが、気が付いたらこんな映画が出てきたわけです。ちょうどトウキョウソナタ [DVD]の公開された翌年の2009年から「アイアムアヒーロー」の原作漫画の連載がスタートし同年に公開された題材はゾンビとは全く関係ないのに感染列島 スタンダード・エディション [DVD]なんていう映画も登場し鳥インフルエンザの感染者が「鳥眼になってんのがなんかゾンビみたい」な表現が登場してきて、その頃からCG上手く使えば日本でもゾンビ物できるんじゃん?な雰囲気がだんだん出来上がってきた気がします。映画製作の内でも外でも準備が揃い始めたところで、うまい具合に韓国の物件が出てきたのだろうか(笑)・・・でも韓国は日本より寒冷な土地だったからラッキーでしたよ。なにせゾンビのルックスってば「湿気」に弱いイメージあるじゃないですかあ、映画の設定では「富士山近くの涼しい土地だとぞきゅん菌は感染が広がらない」という噂が広まって主人公たちは富士山へ行くのですけれどね。

前半部分の「改定」が思わぬテンポを生んだかも

 さて映画の冒頭いわゆるZQN(ゾキュン)が大発生するまでのくだりが意外に長いことに原作漫画を知らない観客は戸惑うかもしれませんがそもそも原作ではコミックス一巻かけてゾキュン発生までを描いているのでこれでもかなりぶった切っているそうでうです。脚色にあたって(「逃げ恥」でも注目の野木亜希子氏が担当)かつては漫画雑誌の新人賞を取ったものの漫画家のアシスタントとして日々を消耗していく30代後半の主人公(大泉洋)の恋人であるてっこ(片瀬那奈)が同棲中に大げんかして罵倒しまくるというシーンで一巻目のドラマを凝縮させるという「省略」を施しているのがミソ。喧嘩別れしたてっこの電話に異変を感じて同棲しているアパートに戻ると、今まさに感染したてっこがゾキュン化していくのを玄関の新聞受けの窓から覗くというかなり古典的ですが怖ーいシーンが強烈なインパクトを与えます。もう大泉洋はそっから恐怖という衝動以外の感情に囚われる余裕も一切なくなり、ゾキュンどもが追いかけてくる街を駆け回り、女子高生の比呂美(有村架純)とともに富士山麓まで一直線に進んでいきます。映画観た後「やっぱTV局が絡んでいない映画だから思いっきりやれたのだ」という賛辞を目にしましたが、逃亡の為タクシーに乗り込み車内のTVをチェックして「トウキョウCHにしてください!」というエピソードが個人的におかしかったです。なんでも「そこのCHが通常放送に固執している間は日本は平和なのだ」という主人公独特の価値基準があり、そこのCHのアニメが中断してニュースに切り替わる際に事態の深刻さに軽く失望するというヤツでした。「アイアムアヒーロー」が地上波で放送されるのは難しいでしょうがもし可能ならばぜひともテレ東でお願いしたいものです。また「この世界の片隅の」と同様長尺をコントロールするのに主人公の動線に従って構成されていることにも注目しましょう。

告白る(コクル)男の矜持とはっ・・・

 んでもって富士山にあるアウトレットモールへ比呂美とともに辿り着き、そこで後半の展開に移っていくのです。二人はモールに立てこもる避難民の集団メンバーの藪(長澤まさみ)と知り合い仲良くなっていきますがあ、そこは食料は徐々に無くなりつつあり、ゾキュンがすぐそこまで追ってきているという状態。大泉洋は漫画の取材のためにライフルの資格を取得していて、後生大事に持ってきたのですが逃げ回るばかりで全く使用していないとか、ありがちですが観客の興味を効果的に引っ張ってくれます。ただし「ヒーロー、ヒーローになる時ぃ♪あ、あ、それは今~♪」なカンジで全篇アクションとバイオレンス描写で突っ走るクライマックスを迎えるにも関わらず凡てが終わった後にスカッとしたマッチョ感がほとんど無いのですよ、なんか寂しい。ゾンビ映画の作り手はそもそもどこかヒューマニズムを表現したいものだ、というのがゾンビ物の評論では常に云われていますし原作でもその辺を狙っているのなら問題はないのですけど。要因としては肝心のヒーローに覚醒した大泉洋よりも一緒に戦う、何かを待っているかのように生き延びる徳井優や予想に反して徹底的にバカ一直線で最後を迎える岡田義徳といった面々にむしろ「普通の人間がヒーローになる瞬間」を感じてしまうのが大きいということかもしれませんが。更に言うと片瀬那奈から有村架純長澤まさみとまるでヒロインがリレーしていくような展開を前半の片瀬那奈の印象が強過ぎるために、映画版ではより思いっきり「暴露」しちゃってるからではないかと(笑)・・・少し思っちゃったよゴメン。野木亜希子脚本だと他にそれが図書館戦争 プレミアムBOX [Blu-ray]岡田准一であろうと重版出来! Blu-ray BOX荒川良々でも滝藤賢一にしても、(あと忘れてましたが「逃げ恥」の星野源もねっ)各々のドラマが「〇〇への想いをいかに告白る」かについての葛藤を描くのが結局一番の見どころになっちゃうらしいです。だから映画ラストには大泉洋何かを告白る必要が生じるのでお楽しみにして下さい。ただし若干「よごれたひでお」感はあるやもしれません。